日本の農業は変革期を迎えている

veg134-s主食

そもそも日本人が主食を米飯としていた時には、穀物自給率は非常に重要なファクターとなっていましたが、実際の食卓を考えた時に穀物自給率の向上が国民生活の安定につながるのかは疑問となっています。 実生活では、朝はパン食、昼はラーメンやパスタを摂り、夕食は焼肉や鍋物というような日が続くことは無いでしょうか。 米飯を食べる機会と、それ以外を主食として食べる機会は、均等もしくは米飯を食べないことの方が多い人が増えているのです。 もちろんパンや麺にも小麦が使われていますが、その原料の大半はすでに輸入品が主となっています。 価格からすると1/10程度の輸入小麦に対抗することはできず、今後は更に関税の見直しがあると、国内産はわずかなブランド品のみを残して転換せざるを得ない状況となるでしょう。 良い製品を作るだけではなく、輸入品に対抗できる価格で出荷できることが今後の農業を支えていくことになります。 米だけを特別視したり、米からの転作奨励で麦を作る時代は終わろうとしています。 これからは大規模農業による生産コストの削減と高収穫が必須となるでしょうから、現在の零細農業を大規模農業へと変換せざるを得なくなっていくはずです。

新規農業者の規制緩和

国はそのために新規農業者の規制緩和、会社による農地取得要件の緩和、生産品の流通販売方法の変更を実施してきます。 今までは新しく農業を始めたいと思っても、地域の農業委員会や農協に認めてもらわなければ農地取得や生産品の販売ができない状況でしたから、この閉鎖性の高い環境を取り除くことで新規参入を募ることができるようになります。 具体的には農業の人手不足が顕著になり環境整備を進めることになります。 平成2年当時、農業就業人口は4,819千人でその内65才以上の割合は33.1%だったのですが、それから20年経った平成22年には農業就業人口は2,606千人でその内65才以上の割合は61.6%となったのです。 つまり20年間で就業者数は半分になり、その2/3は65才以上が担っているのですから、これから先にTPP交渉の結果を待たずとも、日本の農業はすべての面において自由化が避けられない状態となっているわけです。