日本の農業人口は少ないのか
日本の農業は今や深刻な高齢化の問題を抱えています。 日本は世界でも5位の農業大国として知られていて、日本の農家が人口に占める割合は1.6%とされています。 日本の農業人口は2009年のデータでは289万人、確かに少ない数字ではありません。 しかしこの農業人口の6割が65歳以上であり、35歳未満の働き盛りはわずか5%という現実が非常に問題となっているのです。 65歳以上というとそれより高齢の人もいるということで、農家の平均年齢はなんと68.5歳、ほぼ70歳に近い世代が一生懸命農業に従事していることになります。
進む農業の高齢化と後継者不足
1970年代から農業の高齢化が叫ばれていましたが、その世代からさらに持ちあがることにより、明らかに高齢というよりは老齢となってしまっています。 この農業の高齢化の原因として挙げられるのは後継者不足です。 高齢と言われる農家の労働の統計として、70歳までの年代の人がいる農家では、全体の7割が農作業を全て「自分が中心となって」切り盛りしていると言われています。 後継者がいないということもあり、手伝ってくれる人がいないことから、農作業中による事故も増えてきているという現状です。
後継者不足は農業を始める敷居の高さが原因
何故農業の後継者が増えないのでしょうか。 それは、現在の日本においては農家が明らかに世襲制度を取っていることにあります。 よく脱サラして農業を始めるという人もいますが、農業用の機械を購入するにしても相当な初期費用が必要になります。 農業をする為に借金までするという気骨のある若い世代は少ないでしょう。 初期費用が嵩んでもそれなりに収入があれば納得ができるものです。 しかし米農家に従事して、初年度の売上は平均でたった230万円、サラリーマンの年収より少ないと言えるでしょう。 しかもサラリーマンと違って、農業ではコストというものが必ずかかります。 このコストの平均が690万円程、大きな赤字をこうむることになるのは必須です。
地域ごとではなく、国全体として高齢者対策を
売り上げを伸ばさない限り、年収は増えません。 赤字が増えるばかりでは後継者不足は避けられず、農業の高齢化は進む一方なのです。 国の政策としては若い世代の育成や、地域による収穫期の協力体制を強めること、更には外国人労働者の採用などを推奨しています。 しかしたった5%の若い世代を増やす為には小さな政策では限りがあると言えましょう。 高齢者を除いた人口を増やす為には農業にメリットを増やすことを考える必要があるのです。