食と農業

日本の食料自給率は1965年の73%から2010年までの35年間でわずか35%までに減少しました。日本で長く続いたデフレにより海外の安価な生産品が日本人の生活に定着してしまったことや、農業従事者の高齢化や後継者不足問題が顕著になっていることが理由として考えられます。しかしこういった問題の中で日本の農業は転換期を迎えています。
昨今、BSE問題を皮切りに食への安全と安心が特に重要視される時代になり、「食と農業」の課題が顕在化してきました。消費者の食の安全への関心は強く、嗜好や質など多様化するニーズに対応するためのビジネス化も顕著になっています。個人事業として行っていた農作業を法人化したり、異業種参入が続いたりと生産現場の可能性は広がっています。結果、2000年には約5,000社だった法人経営体数は2012年には12,000社以上に増え生産から物流販売までの一貫体制や、6次産業化など多くのビジネススタイルが確立されています。

子供にも食育を!農業体験について

子供にも食育を!農業体験について

子供にも学ばせたい!貴重な農業体験 農業は、農作物を生産する目的を持つと共に、子供たちの教育にも役立ちます。子供たちが農業体験を経て、そこから学び取ることができる内容は多いです。子供たちにぜひ学ばせたい農業体験について、詳しくご紹介します。 農業を体験することで学ぶ食育とは 子供たちの成長のため、大人は多くの事を教える必要があります。その中で重要性が高いテーマの一つであるのが、食育です。人は、食べ物を摂取しなければ生きていけません。どのようなものを食べるかにより、体にも影響が及びます。子供の頃から正しい食事の知識と習慣を身につけると、子供たちは将来活躍できる大人になれます。しかし実際には、昔と比較して日常生活で農業と触れ合う機会が少ないのが現実です。そのため、大人が子供たちのため、農業に触れ合う機会を提供する必要があるでしょう。実際に農作物が育てられている現場を訪れ、その様子を観察すると共に、自らも農作業を体験すると、子供たちは敏感に多くのことを学び取ります。この農業体験から、これまで食卓に並んでいた作物に対しあまり関心が無かった子供たちでも、自身の体験を通じ考えが深められます。農業を

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明日の農業

明日の農業

食料自給率 日本の食料自給率は、1965年には73%ありました。 しかし2010年には39%まで落ち込んでいます。 豆類の自給率は8%とほとんど輸入に頼っている のが現状てす。 日本ではますます農業問題が深刻化しています。 その原因は農業従事者の高齢化と後継者不足です。 農業従事者の平均年齢が65.8歳、35歳未満の従事者 の割合は5%になっています。 農業問題は食糧問題とも直結しているので、 日本が真剣に取り組んでいく課題です。 現在、そんな後継者不足を解消させる 取り組みが始まっています。 他業種からの人材や新卒者、失業者の 受け入れです。 メディアでも注目をして特集を組んで 流しています。 しかし新たに農業を始めるにあたっては 農地を確保するという大きな壁があります。 さらに一定規模の農地を継続的に耕作して いないと農家として認められません。 農業を法人化することで、確かに雇用は生まれます。 しかし、正社員やアルバイトといった作業員としての 採用であり、農業に意欲のある若者がいても、 農地法などが邪魔をして、自ら農業始めるには なかなか思うようにすすんでいかないのが現実です。 農

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食の安全から考える日本の農業①

食の安全から考える日本の農業①

あるシイタケ農家のお話です。 販売業者から「おたくのシイタケは日持ちが悪い。 外国のシイタケだったら一ケ月はもつのに」と言われたそうです。 でもちょっと待って下さい。 自然の力で一ケ月もつシイタケって、本当に存在するのでしょうか。 私たち消費者は有機栽培や無農薬・低農薬栽培がいいと言い、 なおかつ曲がっていびつな農産物を避け、少しでも穴のあいた葉っぱには 見向きもしません。 きれいな農産物でないと消費者には売れません。 農家だってコストのかさむ農薬を好んでは使いたくありません。 「人に喜んで食べてもらいたい」という複雑な思い。 もちろん、無農薬で通している農家はあります。 でも多くの農家が消費者に買ってもらうために仕方なく 農薬を使っているというのが本音で現状だと思います。 農薬について アメリカ人の死体は腐らないと聞いたことがあります。 農薬をたくさん摂っているため、防腐剤がわりになっているというお話です。 日本の農薬の基準は外国の基準より厳しいと言われています。 致死量数グラムのパラチオン剤があります。 日本ではすでに禁止されていますが、アメリカではまだ使われています。 日本の基準

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食の安全から考える日本の農業②

食の安全から考える日本の農業②

残留農薬 残留農薬をしっかり洗って除去する。 それは正しいことですが、根本的には間違っていると思います。 植物同士で相性がよく生育にもいい影響を与え、害虫をよせつけないコンパニオンプランツというものがあります。例えばトマトにバジル、ラディッシュにネギといった組み合わせがあります。農薬を使わないようにそういったコンパニオンプランツをもっと研究して利用してみるのはどうでしょうか。天然土壌改良材として有機物を餌とするミミズのフンをもっと活用してみたり、てんとう虫を利用して害虫駆除をしてみるのはいかがでしょうか。農家は見た目もキレイな無農薬農産物を作れるように、本当に人に喜んで食べてもらえるものを作れるように、そういった手間のかかる小さな努力を続けていく必要があると思います。 そして何より私たち消費者の食の安全に対する意識も変えていかなければなりません。 私たちが日々口にしている食物は私たちの体を作る大切なものです。 もっと農薬や化学肥料の恐さを認識する必要があります。 食物を選ぶ基準を変えていく必要があります。 虫に食われている野菜とキレイな野菜 さいごに、虫に食われている野菜とキレイな野菜

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食農と地産地消のススメ

食農と地産地消のススメ

食育 戦後の生活スタイルの変化に伴い、日本人は米食が減りパン食が増えました。 2012年の小麦の輸入量はおよそ560万トンにのぼります。 家族で食卓を囲む時間が少なくなったことで、食事作法を教わる機会が減り、 お箸の持ち方や食べる順番を知らない子供も増えてきています。 また、スーパーでは野菜や果物が季節に関係なく並んでいます。 食材本来の旬の時期がわからなくなり、食材そのものの栄養素も 低下していると言われています。 食育は、子供だけに限らず国民一人一人が食を通して健全な心身を培い、豊かな人間性をはぐくむことを目指しています。 そして今この食育と農業教育を一体化した「食農」に新たな注目が集まっています。 農業を通じて食を学ぶ取り組みです。 体験する米作り 例えば親子で体験する米作りです。 田植えや稲刈りといった農作業を通じてお米はどうやって作られているのかを知り、 命の尊さやありがたさを学びます。そしてお米を育てるには多くの人や自然や社会に支えられているという命の関わりを知り、命の食物連鎖を学びます。さらには親子で一緒に作業を行うことで親子の絆も生まれます。 また、農協の中には農産物の

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世界と日本の農業

世界と日本の農業

アメリカ アメリカは第二次世界大戦後、国内で余った小麦を 日本や発展途上国、ヨーロッパなど外国へ提供をしていました。 農業を分業化させ工業化を促すことで、 より効率的な生産方法をアメリカは追い求めていきました。 その結果、一農家当たりの農地は広がり、農家の数は減りました。 そして今アメリカで作られた食材で、 世界の人々の胃袋は満たされています。 2012年の日本の農産物輸入は、24.7%がアメリカです。 しかし外国から食糧を輸入することに問題はないのでしょうか。 どこかで事故や災害が起きれば供給がストップしてしまいますが、 輸送距離が長いということは、そのリスクが高まります。 さらに輸送の時間や費用もかかる上、CO2を排出させるので環境にも影響を及ぼします。 しかしまた一方では、大規模な分業行い農業生産者と消費者の距離を分け、輸入をすることで日本は今の豊かな暮らしを手にしているのも事実です。 現在の食の流通は長く複雑になっており、外国のチョコレートの原料がどこでどのように 作られているかは誰もわからない状況です。 穀物需要は増加傾向 世界は今、バイオ燃料の拡大に伴い穀物需要は増加傾向に

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農(ファーム)から食(テーブル)まで

農(ファーム)から食(テーブル)まで

距離 農産物が生産された農(ファーム)地点、農産物が消費された食(テーブル)地点、 今日食べた農食2点間の距離は近いでしょうか?遠いでしょうか? 直線でしょうか?どこかを経由しているでしょうか? そしてその線ははっきり見えていますか? 農(ファーム)から食(テーブル)までの道のりは食材によっても様々で、 もちろん自然環境によっても変わってきます。 流通経路の長短の違いで消費者が購入する農産物の鮮度は変わってきますし、 経由地が多くなり加工されてしまえば、消費者は農産物の産地を知ることが出来ません。 また経由する地点数の違いが農家の利益に大きな影響を与えます。 利益を左右する流通経路は工業の世界では非常に重要視されますが、 農業の世界では流通経路に関心は持ちつつも、従来通りに行い見直す農家の数はそれほどまだ多くないのが現状です。 流通経路 多くの農家は、収穫した農産物を農協に託します。そこから卸売市場に運び出され、卸売市場でセリにかけられ値段が決まります。そして仲卸や八百屋、スーパーに並び、レストランや食堂に運ばれ消費者が購入してはじめて食卓にのぼります。この流れが一般的です。 なお、2

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農と人をつなぐ

農と人をつなぐ

GNPに占める割合は2% 農業が日本のGNPに占める割合は2%ほどになっています。 農業は汚い・きつい・危険・かっこ悪い・稼げない・・と若者が離れ、 今日本の農村は高齢化・過疎化に拍車がかかっています。 農業従事者の2010年の年齢構成は65歳以上が61%、60~64歳が13%、50~59歳が15%、40~49歳が6%、39歳以下が5%となっております。 理想の社会は、農村部と都心部に住み分けせずに いろいろな世代の様々な職業の人たちが一緒に生活できる社会です。 ドイツでは年に2回、農家の一部を小さなホテルとして安く都心の人に2~3週間使ってもらい、農家の人と一緒に作業する時間や交流する時間を持たせています。政府がここに積極的に資金を投入し、国民もなんと半分が利用しているのです。EU諸国では国家予算のうちおよそ7割を農業にあてていると言われています。 日本でも国が人・農地プランなど掲げていますが、農業従事者とその近辺が中心で、残念ながら都心部の人を巻き込むようなものではありません。日本の国家予算のうち農業にあてるのはだいたい4%程度です。 民間の農と人をつなぐ取り組み 民間の農と人をつ

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農業と医療

農業と医療

「医」と「農」をつなぐプロジェクト 農林水産省では「医」と「農」をつなぐプロジェクトがありました。 自分たちで作った農産物を医療現場や福祉施設で食べてもらいたい。 自分の農地を、治療やリハビリのために患者さんや障害者の方たちに 使ってもらい、農業も教えていきたい。 そういった「医」と「農」をつなぐモデル事業を始める方々に 500万円を助成するというものです。 今こうした「医療・福祉と食料・農業」分野で異業種が様々な連携をとり 新しいビジネスや取り組みが始まっています。 北海道増毛町には「リハビリ・リンゴ園」があります。 ここでは農作業・植樹・加工品制作など障害や病気の度合いによって、 ドクターと話し合いながら、作業を進めていきます。 リンゴを育てることで、身体的・社会的・精神的にも良い状態にする 園芸療法を行っています。 また、高齢で重たい野菜が持てない、野菜を食べきれないといった声から、 食べきれるサイズの野菜が出来る種の開発がされることもあります。 食料・農業→医療・福祉だけでなく、医療・福祉→食料・農業の連携です。 医療農業観光事業 他にも観光を通して「医」と「農」をつなげる事業

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農業のビジネス化

農業のビジネス化

転換期 日本の農業は転換期を迎えています。 一次産業にとどまっていた農業を、嗜好や質など多様化するニーズに対応できるようにとビジネス化が進んでいます。 農業生産法人の設立や農産物の直売所の開設、植物工場の建設や企業の農業参入です。 法人経営体数と農地面積全体に占める法人の農地利用面積の割合は、2000年の5,272社1.6%から2012年には12,511社4.2%に増加しております。 農業生産法人は農業生産だけでなく、加工・販売から民宿・レストランまで幅広く行っており売上高も増えています。一次農産物生産、二次食品加工、三次流通販売と総合的に関わりさらなる付加価値をつけた六次産業化が期待されています。 農産物の直売所展開 そして都心部に農産物の直売所を展開する動きも出ています。 さらに農産物の直売所の中でも今「道の駅」に注目が集まっています。 農産物に生産者の写真やコメントをのせるため、生産者はより美味しいものを提供し、消費者も安心して農産物を買うことができます。地元の人だけでなく、遠方からもたくさんの人が訪れてにぎわいます。販売農家の3割近い50万前後の農家がこうした直売活動に参加して

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