世界と日本の農業

barley_field_barley_cereal_220417アメリカ

アメリカは第二次世界大戦後、国内で余った小麦を 日本や発展途上国、ヨーロッパなど外国へ提供をしていました。 農業を分業化させ工業化を促すことで、 より効率的な生産方法をアメリカは追い求めていきました。 その結果、一農家当たりの農地は広がり、農家の数は減りました。 そして今アメリカで作られた食材で、 世界の人々の胃袋は満たされています。 2012年の日本の農産物輸入は、24.7%がアメリカです。 しかし外国から食糧を輸入することに問題はないのでしょうか。 どこかで事故や災害が起きれば供給がストップしてしまいますが、 輸送距離が長いということは、そのリスクが高まります。 さらに輸送の時間や費用もかかる上、CO2を排出させるので環境にも影響を及ぼします。 しかしまた一方では、大規模な分業行い農業生産者と消費者の距離を分け、輸入をすることで日本は今の豊かな暮らしを手にしているのも事実です。 現在の食の流通は長く複雑になっており、外国のチョコレートの原料がどこでどのように 作られているかは誰もわからない状況です。

穀物需要は増加傾向

世界は今、バイオ燃料の拡大に伴い穀物需要は増加傾向にあります。 けれども農地は集約されて水資源は限られているので、 食糧の生産量が需要に追い付かず不足する可能性も出てきています。 さらにTPPで日本が海外からの輸入を進めていった場合に、 経済力の乏しい途上国の食糧の調達が滞り、食糧価格の高騰を招く危険性もあります。 日本の食糧自給率を今以上に低下させてしまえば、世界の飢饉や食糧不足を加速させかねないのです。 日本は豊かな農業生産力を持つ国です。 立派な田畑を持ち、研究熱心な農家がたくさんあり、 どこの国にも負けない優れた技術力を持っています。 日本は食糧自給率を上げる力は十分持っているのですから、 あとは実行に移すだけです。 私たちはまず始めに、「食」を見直す必要があります。 生涯を通しての食生活を考え、日本伝統の食文化を守り、 健康を守る「食」の大切さを再認識する必要があります。 今口にしている食材はどのように作られ、どのように流通しているのかを意識し、 食材の安全性を理解し選びとることが大切です。 そういった一人ひとりの「食」への意識と行動が、 日本の食糧自給率を引き上げる行動へとつながっていくのです。