農協の弊害
先にも書きましたが、日本における農協(農業協同組合)は巨大な独占組織であり、多くの個人農家は自分で育てた農作物を農協に買い取ってもらい、農協はこれを各種小売り、店舗などに卸します。ある農家さんに聞いた話では、たとえば有機野菜や栽培方法にこだわって育てた米であっても買い取り価格は同じ、しかも儲からないと嘆いておられました。確かに、自分がやりがいを持って愛情深く育てた作物が、他のそうでもないものと同等に扱われるのはやるせないと思います。しかし、現在日本には農協以外に自分の農作物を買い取ってもらう方法は、自分で販売したり、販路を開拓する以外ありません。大きな営業力を持たない個人農家ではこのような販路の開拓が厳しい状況なのです。
農協を介さないメリット
しかし、昨今インターネットや情報技術の向上により、だれでも簡単にインターネットを通じて販売、購入といった行動が可能になりました。たとえば、ネットショップでは値段比較も出来たり、最近では海外からの通販も昔に比べて随分とハードルが下がりました。このことを農業に応用することが出来れば、農協を介さない販路の拡大が可能になります。ただ、あくまでも一般消費者向けの小売りですと、梱包、発送の手間、入金確認の手間など一括買取の農協とは比べ物にならないほど仕事量が増えてしまいます。ですので、たとえば大手飲食チェーンと農業家を繋ぐサイト経営でしたり、それこそ海外の食料販売メーカーに売り出していける様な方法がベストとなります。農協を介さない直売、直卸しは、単に利益率の増加だけでなく、自分の作ったこだわりの野菜や、自信のある高品質な農作物、米などを一番それを求める消費者にアピールできるメリットがあります。健康志向、食の安全意識の向上により、これらの高品質の農作物を選びたい消費者が増えていることもまた事実です。