フラワーショップで売られている色とりどりの花や、ホームセンターに並んでいる球根や苗。これらを生産するのが、花農家の仕事です。花農家の仕事にとって重要な土づくりについて、耕作と土壌消毒というポイントからご紹介します。
花農家の仕事の流れを知ろう
花農家は、球根、鉢植え、切り花、花壇に使う苗物などを育て出荷することが主な仕事です。球根を出荷する場合は、土の中で手のひらサイズまで育ててから優しく掘り起こし、親球にくっついた子球を切り離し、土に埋め戻すという株分けを行います。この株分けと、それぞれの球根を十分太らせるという作業を繰り返すことで、出荷用の立派な球根が育っていくのです。苗物や鉢植えの花の場合は、苗や花がある程度成長するまで畑で育て、それぞれに適したサイズのポットに植え替えていきます。植え替えの作業は花農家の手作業で行い、苗や花、根に傷がつかないよう慎重が期されます。育った苗物や花は、出荷基準に照らし合わせながら出荷準備が進められます。販売ルートとしては、市場に送る場合や、花屋に直送する場合、農家が直販する場合などがあります。切り花として出荷する場合は、茎の下の部分についた葉や状態の悪い葉を落とし、花の規格に応じて数本?10本前後ごとに結束していきます。この時、茎が曲がっていたり、首長のものがあったりすると、順次規格を落としていくというチェック作業が伴います。このように花農家では、生産する花の種類や、出荷方法に応じて多様な作業を行うのです。
花農家の大切な仕事、耕作とは?
よい花を育てるには、土づくりが欠かせません。花農家の仕事は、耕作から始まります。耕作とは文字通り畑の土を耕すことですが、なぜ耕作が重要なのでしょうか。耕作の目的は、花の根が栄養分や水分を吸収しやすいような土に整えることです。冬の間など、畑に花がない状態では、畑には雑草が生え、土自体の重さや雨のために土壌が固くなってしまっています。畑を耕すことで、雑草を取り除き、花が生育しやすい固さの土にするのです。またそれぞれの花に適した大きさの畝を作っていくことも、耕作において大切な工程です。畝を作ることで、十分な日当たりを確保したり、風の被害を軽減させたりすることができます。耕作は力仕事ですが、広い畑では耕運機を導入していることが一般的です。その他に、場合によっては、酸性の強い雨によって酸性土壌になっているところに消石灰などを撒いて酸度を中和したり、腐葉土や堆肥をしっかり土に混ぜ込んだりといった作業が伴うこともあります。
花農家ならではの土づくりのポイント
野菜農家では、土から吸収した物質が野菜に蓄積し、最終的に人体へと入るため、土壌の成分には十分気を配る必要があります。一方で、花の場合は人体に入ることがほとんどないため、比較的自由に農薬を使うことができるというポイントがあります。したがって花農家の土づくりでは、農薬のメリットを活かしながら作業が進められます。特に「土壌消毒」というプロセスでは、雑草や害虫を駆除するため、農薬が遣われています。方法としては、耕作時に農薬を畑に散布し、上からビニールシートをかけます。そのまましばらく放置することで、密閉空間内で農薬の成分が十分作用し、雑草や害虫が一切いなくなるのです。この方法は農業改良普及センターなどの公式な機関でも進められていますが、一方で益虫まで殺してしまうというリスクがあります。さらに畑を耕してくれる存在であるミミズなども殺してしまうため、この土壌消毒を選ばずに、自らの手で雑草駆除や害虫退治を行う農家もあります。畑の性質や農家の方針などに応じて、方法を選んでみましょう。