農業収入だけで生活していくためにはどれくらいの稼ぎがあれば良い?

挿絵1農家を経営するのであれば、収入について考えなければなりません。兼業ではなく、専業としての経営なら、それで生計を立てていくわけですから、なおさら深刻な問題ですよね。生活に困ることなく暮らしていくのには稼ぎが多いほうが良いに越したことはありませんが、大体の目安については知っておきたいものでは?農家をしている人が実際どれくらい稼いでいるのかも気になるところではないでしょうか。ここでは、専業農家の収入の目安や実状について紹介します。

会社員と同様に収入計算をしてはいけない

挿絵2農業を経営するのなら、その収入に関して会社員と同じような収入計算をするのはご法度です。一般的な会社員の場合、基本的には確定申告も特に必要はなく、年末調整も会社が行ってくれますから受け取ったお給料やボーナスの金額がそのまま収入になります。しかし、農業となるとそういうわけにはいきません。法人経営している農業で下働きとして給料を得ているだけなら話は別ですが、個人経営で農業を経営するなら、売上と経費について考える必要があります。
売上金は単純に言えば、育てた農作物を販売して得たお金のことですが、個人経営の農業の場合、これがそのまま収入になるわけではありません。農作物を育てるためには苗や種、肥料の仕入れをする必要性がありますし、経営の仕方によってはさらに農薬を仕入れたり、人を雇ったりする必要性も出てくるでしょう。そのためには資金が必要ですから、こういったことにかかるお金を経費として売上金から差し引く必要性が出てきます。つまり、農家の収入は売上から必要経費を差し引いた額というわけです。
個人経営の農業は誰かに雇われているわけではなく、個人事業主や自営業の扱いになりますから、収入に対してはこのような考え方を持っておくのが基本であることをまずは覚えておきましょう。

農業でどれくらいの収入を得ていますか?

農業を営んでいる人は実際のところ、どれくらいの収入を得ているものなのでしょうか。農業に携わったことがある人を対象に、年収ベースでの農業の収入について聞いてみました。

年収300万円程度が相場?あとはピンキリ!

  1. 年収300万いくかどうかでした(30代/男性/正社員)
  2. 100万いくかいかないかくらい(40代/男性/無職)
  3. 規模が小さいので数十万円程度です。(20代/女性/学生)
  4. だいたい年収600万以上(40代/男性/正社員)
  5. 大体年間に250万円くらい稼いでいました。(20代/男性/正社員)
  6. 年収ベースでは1000万に達しないくらいです。(60代/男性/個人事業主・フリーランス)
【質問】
農業でどれくらいの収入を得ているか年収ベースでお答えください。
【調査結果】

フリー回答

調査地域:全国
調査対象:年齢不問・男女
調査期間:2017年06月21日~2017年06月28日
有効回答数:92サンプル

最も目立っている回答は年収300万円で、その前後の200万円くらいから400万円くらいの回答も多くなっていました。平均的な農家の年収としてはこれくらいと考えるのが妥当かもしれませんね。ただ、数十万円単位の人もいれば、600万円や1,000万円近く稼いでいるという人も一部にはいました。事業として成功しているかどうか、規模はどれくらいなのかなどの要素によっては年収の額も大きく変わってきそうですね。

生活していけない農家もある

挿絵3農業で年収300万円やそれ以上の金額が稼げるとなれば、十分に生活していけるのではないかと思うかもしれません。しかし、実際は必ずしもそれだけの収入を確保できるとは限りません。農業を始めてみても、農作物が上手く育たない、商品があっても上手く売り捌けないなどの問題で売上を確保できていない農家も少なくはないのです。
農林水産省の統計結果を見ると、農業従事者の約4割は年収が300万円未満という統計が出ています。あくまでも300万円未満ですから、そのなかには数万円や数十万円の収入だけしか得られていない農家も一定数いる可能性は否定できないでしょう。また、これはあくまでも農家一戸あたりの収入ですから、どの農家も1人で経営しているとは限りません。夫婦2人や家族を合わせて4人、あるいはそれ以上という人数での年収だとしたら、生活していくのは困難だと言えるでしょう。育てた米や野菜などで自給自足ができるというメリットはもちろんありますが、それでも生活費を一切かけなくて済むわけではありませんから、ある程度の収入は確保しなければなりません。
ただ、年収300万円以上を稼いでいる農家は全体の6割になりますから、希望を捨てるのは早いです。全体の約10%は1,000万円以上の収入を獲得していますし、成功さえすれば、十分に生活していけるのも確かです。

所得を計算してどれくらい生活費に充てられるかを計算しよう

副業感覚の兼業であれば、数万円程度稼げるだけでもありがたいものですが、専業の場合には具体的な収入について考えていきましょう。
まず考えるべきなのは、所得の計算です。売上から経費を差し引いて、どれくらいが収入になるのか、そしてそのうちのどれほどの金額を生活費に充てられるのかについて計算してみてください。次に、その生活費で十分に生活していけるのかについても良く考えてみましょう。生活が逼迫してしまうような金額であれば、売上あるいは経費の面を見直す必要があるということです。これから農業を始めたい場合は、現実的な範囲でどれくらいの金額を生活費に充てたいのかを想定したうえで、どのように経営をしていくのかをシミュレーションしていきましょう。
きちんと計算をしながらお金の管理をしなければ生活が成り立たないですし、生活費を優先させて獲得した売上金を構わずに使いきってしまうと、その後の経営に支障をきたしてしまいます。資金がなくなると経営破綻の一途を辿ることになってしまいますから十分に注意する必要があるでしょう。たとえば、30代の家庭の場合、平均世帯年収は500万円程度だといわれています。お金に困らない平均的な暮らしをしたいのであれば、配偶者の給料と合わせて平均世帯年収を得られるような金額を目安にしてみることをおすすめします。

まとめ

会社員のように毎月安定した給与が支払われるというわけではないですし、経費のことも考えなければならないため、慣れていない人にとってはとても過酷な問題に感じるかもしれません。成功できるかどうかという不安もあるでしょう。しかし、農業で成功し、専業で生計を立てている人も多いのは確かですから、希望は十分にあります。毎日の通勤や残業、人混みの喧騒などから離れて自由な田舎暮らしができるという魅力もありますし、がんばってみる価値はあるでしょう。

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