せっかく一から農業を始めるのなら、儲かる方法について知っておきたいものですよね。儲けるための小手先のテクニックも大切ではありますが、農業においては、やはりまず育てる農作物選びが儲かるかどうかの大きな分かれ目になるものです。どんな野菜なら成功しやすいものなのかがわかれば、失敗のリスクを減らしながら農業に励むこともできるでしょう。そこで、具体的に儲かる野菜や、儲けるのに必要なノウハウについてまとめました。
儲かるかどうかの判断は経費も考えなければならない
儲かるというと多くの人はどうしても売上金の大きさに着目しがちですが、農業を営んでいくうえでは、そのために道具を用意したり人を雇ったりといったことも必要ですから経費がかかります。どれだけの規模でどんな風に農作業をしていくのかによっても期待できる売上やかかる経費は変動するものですが、このバランスを上手く取れていないと高い収入を得ることができません。たとえば、売上金が1,000万円に対し、900万円の経費が掛かっていたら、所得は100万円ということになります。それなら売上金が500万円の売上でも、200万円の経費しかかからない300万円の所得を得られたほうが良いのは確かです。
毎年大きな必要経費がかかるとは限りませんが、農家としてきちんとお金を稼ぎたいと考えているのであれば、売上だけではなく、経費を差し引いた所得を基準に今後どのように経営していくかを考える必要があることは覚えておきましょう。
労働時間も考えるようにしよう
農業は所得の大きさだけではなく、労働時間に対しての収益も考えることが重要です。農林水産省が行った農業経営統計調査によると1,000平方メートルあたりのシシトウの所得は143万円ですが、それに対する労働時間は2,155時間です。つまり、時給換算すると、約664円にしかなりません。それに対して、タマネギの所得は11万円ですが労働時間は139時間なので時給は約924円、白菜は所得12万円で労働時間は93時間なので時給は約1,290円といった具合に、野菜によって時給あたりの金額は大きく異なります。一見すると大きな所得に見えたとしても、それに対して時間や手間がかかり過ぎるようであれば、あまり良い条件だとは言えないでしょう。
必要な労働時間はどれだけの手入れが必要かだけではなく、収穫できるまでの期間にも影響されます。作物によっては早いものなら数週間程度、遅いものは数ヶ月かかります。商品として高く売れるかどうかだけではなく、農作物の育ちが早いかどうかについてもチェックするのを忘れないようにしましょう。
実際の農家ではどのような作物を栽培している人が多いのか?
どんな農作物を選ぶのかによって、どれだけの収益に期待できるものなのかも変わってきますが、実際の農家ではどんな作物を作り、販売しているものなのでしょうか?傾向について調査するため、農業に従事したことのある経験者に対してアンケートを取ってみました。
米とオーソドックスな野菜が定番?
- お米を栽培・出荷しています。(30代/男性/正社員)
- きゅうりとナスとトマト(30代/男性/正社員)
- ネギとキャベツを栽培していました(30代/男性/パート・アルバイト)
- 大根、大葉、ねぎ、トマトなどです。(40代/女性/個人事業主・フリーランス)
- ハーブ類。それを加工して販売している。(30代/女性/専業主婦(主夫))
- サトウキビとかゴーヤとかでしたね(30代/男性/正社員)
- 【質問】
- どのような作物を栽培・出荷していますか?
- 【調査結果】
-
フリー回答
調査地域:全国
調査対象:年齢不問・男女
調査期間:2017年06月21日~2017年06月28日
有効回答数:97サンプル
目立っていたのは米を栽培しているという意見でした。ほかにも、キャベツやトマト、大根など、定番の野菜を扱っている人は多いようですね。逆にマイナーなものとしてはハーブ類やサトウキビと回答している人がいました。特別な販売方法になるものや特別な気候でないと育てられないような農作物は、どうしても少数派になる傾向にあるのかもしれません。人気なのはやはりオーソドックスの野菜のようですが、果たして儲かる野菜でもあるものなのでしょうか?より詳しく見ていきましょう。
キャベツやトマトが儲かる野菜上位に
儲かるとされている野菜は農林水産省の農業経営統計調査で判別することができますが、上位と言えるのはキャベツやレタス、トマトなどの野菜です。1,000平方メートルあたりのキャベツの所得は18万円ですが、労働時間は90時間なので時給2,000円になります。レタスは所得23万円で労働時間が133時間ですから時給は約1,730円。同様の計算で大玉トマトなら時給約1,270円となっています。特にキャベツやレタスの場合は総労働時間自体が短くて済むので、敷居が低い農作物だと言えるのは間違いありません。
ほかにも、キャベツやレタスほどではありませんが、里芋やきゅうり、ニンジンも儲かる野菜として知られています。また、定番の野菜だからこそ、育てるのにも特別難しい技術が必要なわけではないというのも、人気の理由だと考えられるでしょう。
これから農業を始めたいけれど、どんな野菜を選んだら良いかわからないのであれば、まずはこういった労働時間に対して所得が多く得られそうなものを優先的に選んでみるのが望ましいと言えます。
施設栽培か露地栽培かで収益額は大きく変わってくる
収益額をより深く考えるのであれば、施設栽培にするか、露地栽培にするかというのも良く考えなければなりません。露地栽培はその名の通り露天である外で農作物を育てる方法、施設栽培は温室や温床といった特別な施設を使用して農作物を育てる方法になります。
露地栽培の最大のリスクは外にあるので天候の影響を受けやすいという点です。そのため、嵐や台風などの悪天候に見舞われた際には農作物がダメージを受けて損害を出すこともあります。だからこそ、収益額が安定しないという一面は持っていますが、施設がなくても土地さえあれば農作物を育てられるという手軽さが魅力です。それに対して施設栽培は天候の影響を受けることはまずありません。ただ、施設を用意するために多額の費用が必要となるという面があります。
農業をする人によって求めることや用意できる資金は異なるので、一概にどちらのほうが良いものだとは言い切れません。しかし、儲けたいのであれば、施設栽培と露地栽培それぞれの特徴について深く理解し、そのうえでより儲かる野菜について考えることが大切です。
まとめ
野菜選びや栽培方法によって期待できる収益は大きく左右されます。特に、経営の規模や環境によってどれだけの経費が必要となるのかは変わってきますから、十分に注意する必要があるでしょう。売上金の額をチェックするだけではなく、経費を差し引いたうえでの所得額をシミュレーションし、稼ぐのに効率的だと思える農作物や栽培方法を選ぶようにしましょう。