農業に興味はあるけれど、実際にそれできちんと暮らしていけるのかは気になるものです。特に、本格的な農業に携わったことがない人にとっては本当に稼ぐことができるのかどうかという問題が大きな懸念材料ですよね。いくらやりがいがあったとしても、生計を立てていくことができないのであれば続けていくのは現実的には難しいと言えます。脱サラをして始めたらサラリーマンの収入を上回ることはできるのか、農業の平均年収を見て判断してみましょう。
脱サラ農業の平均年収はどれくらい?
2016年の国税庁の調査によると、サラリーマンの平均年収は415万円ですが、男性平均は514万円、女性平均は272万円という記録となっています。それに対して農業の平均年収は具体的にどのような分野や商品を扱っているのかにもよりますが、おおよその平均は150万円から300万円程度です。実際、2005年の農林水産省の調べでは、認定農業者がいる農家17万戸に対し、約40%が300万円未満の所得となっているという記録があります。しかし、逆の考えをすれば残りの約60%は300万円以上の所得を得ており、そのうちの約10%は1,000万円以上の所得となっているにも事実です。
露地野菜作経営の収支を年度毎の推移で見ると、2005年は約427万円だったのに対し、2010年には約505万円、2011年に一度約493万円に落ち込んでいるものの、2014年には約520万円と増加傾向にあります。施設野菜作経営や果樹作経営などについても同様で、収支は増加の一途を辿っているため、将来性には大きな期待が持てるのも確かです。
地域や経営の仕方によっても収入は大きく変わってくる
商品となる農作物を育てるのか、どのような売り先を持っているのか、そしてどこの地域で農業をしていくのかによっても収入は大きく異なってきます。
農作物の違いによって売上の差が生じるのは言うまでもありませんが、売り先も収入の変動においては非常に重要な項目です。売り先の中間マージンはいくらになるのか、売り先にどれだけの販売力があるのかを考えなければなりません。自社のホームページで直接農作物を販売できれば売り先に手数料を支払う必要はありませんが、敷居が高いうえにきちんと売れる保障もないのでなかなか容易ではないのが現実です。だからこそ、収益を上げるのには条件の良い売り先探しが大切なポイントとなります。
また、同じ農作物であっても地域によって産出額や農業所得は大きく異なるのが現状です。一戸当たりではなく、全体の額になりますが、たとえば米の場合、新潟では約1,280億円、北海道が約1,150億円なのに対し、栃木では約520億円、大阪にもなると約80億円となっています。地域によってこれだけの差が起こるわけですから、作物の育ちやすさはもちろん、販売のしやすさという観点で地域選びは慎重に行ったほうが良いでしょう。
平均収入以上の収入を獲得している農家はどのような工夫をしているのか?
農家として生計を立てていこうと考えているのであれば、収入が高いに越したことはありませんよね。しかし、平均収入以上の額を獲得している農家は一体どのような工夫をしているものなのでしょうか。農家を経営する上で収入をアップさせるために工夫すべきことについて、農業経験のある男女に意見をうかがってみました。
まずは品質の高い農作物にすることが重要?
- いかに品質(美味しさや収量、サイズ、時期など)を安定させるか。(40代/男性/正社員)
- 体が資本、がんばりすぎないこと。朝の出荷を行えば、比較的時間は自由なので、疲れたら休むようにしています。(40代/女性/専業主婦(主夫))
- 農業はいつ何時何が起こるか分からないので、持ちつ持たれつの精神を携えて近隣の農家の方々のお手伝いに積極的に取り組んでいます。(30代/女性/派遣社員)
- いかに人的なネットワークを広げ、維持するかですね(50代/男性/個人事業主・フリーランス)
- できる範囲で付加価値をつける(有機栽培、低農薬など)(40代/男性/無職)
- 【質問】
- 農家を経営する上で工夫していることを教えてください。
- 【調査結果】
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フリー回答
調査地域:全国
調査対象:年齢不問・男女
調査期間:2017年06月21日~2017年06月28日
有効回答数:96サンプル
必要なこととして、品質の高い野菜にするための工夫が重要と考える人が目立っていました。有機栽培や低農薬で付加価値をつける方法も、他の農家にはない強みや独自性を出せるので効果的だと言えるかもしれません。また、人的ネットワークを構築して周囲の協力を得ることや身体を労わりバランス良くがんばることも重要な項目だと言えそうですね。
規格外に稼いでいる農家はどのように経営している?
農家の中には1,000万円以上という規格外の収入を得ているところもありますが、300万円以上を稼ぐことが難しい農家が少なくないなかで、なぜそんなにも稼げるのかというと、実はきちんとした理由があります。規格外に稼いでいるすべての農家に当てはまるわけではありませんが、多額の収入を得ている農家の多くは、効率化を考えた経営をしているのです。
具体的な例で言えば、機械化を進めていることが挙げられるでしょう。農業用のトラクターがあれば、人力でやるよりもはるかに効率的な作業ができます。広大な面積の田畑を耕すことや種や苗を植えること、肥料を散布することは容易に行えるので、その分だけ収益も上がるという仕組みです。ほかにも、価格決定権を持っていることも収入を上げるには重要となってくる項目です。消費者が買ってくれなければ全く意味がないので、ただ売りたいものを高くすれば売れるというわけではないですが、価格決定権が自分にあれば好きなように値段を設定できるというメリットがあります。つまり、想定よりもかなり安い価格設定をされてしまうという問題がないため、損をしてしまうリスクを避けられるというわけです。農家である自分のやり方次第ではありますが、上手く収益を最大化することも不可能ではないでしょう。
食費が抑えられるというメリットもある
農業は、収益を得られることや農作業のやりがいを感じられるといったことだけがメリットというわけではありません。一般的に、野菜を販売する際はサイズや見た目などの厳しい規定が設けられています。そのような問題があると、必ず育てた農作物すべてが販売できるというわけではないのが現実です。一見デメリットのようにも思えますが、売り物にならない農作物は自分で消費できる、つまり自分や家族で食べられるというメリットがあります。どのような農作物を扱うにもよりますが、毎日のように食卓に並べることができれば、大幅に食費を抑えられるでしょう。
自分で処理しきれない場合には、近所や親戚、お世話になっている人などに配って回ることもできます。それによる金銭的なメリットはあまりないかもしれませんが、自分が苦労した農作物で喜んでもらえる姿を直接見られるというのは、農家にとっては大きな喜びであるものです。こういったメリットがありますから、サラリーマン時代よりも収入とあまり差がなかったとしても魅力的な仕事だと言えるでしょう。
まとめ
農家の平均収入は決して高いとは言えないものの、サラリーマンの平均年収以上に稼いでいる人も決して少なくはありません。300万円以上の収入を得ることができない農家が多いのも確かですから、簡単とは言えないですが、だからといって不可能なことでもありません。活動や販売の地域を考える、規格外に稼いでいる農家と同じ工夫や努力をするといった対策で着実に収入を上げていくことはできるでしょう。どうすれば収入アップに繋がるのかについて良く考え、実践することをおすすめします。
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