他の土地に比べて農地の固定資産税はどうなっているの?

土地を所有している場合、その土地を利用していてもいなくても、固定資産税という税金がかかります。土地の所有者はなんとかして支払う税金を減らすことを考慮しますが、その税金対策のひとつとして農業に利用する農地は固定資産税が安いという話があります。では、所有している土地を農地として転用すれば、支払う固定資産税の金額を減らすことは可能なのでしょうか。通常の宅地に比べて農業で利用する農地にかかる固定資産税は本当に安いのか、農地にかかる税金についていろいろとご紹介します。

農業の支援情報の写真 実は安い?農地にかかる固定資産税

土地の価値は価格という具体的な数字によって表されますが、一般的に土地はその土地から生み出される収益によって決定されます。では、土地の上に建物が建設された宅地と、農業を営むために利用される農地とでは、土地の価値はどのようになっているのでしょうか。普通に考えたら、ただ建物が乗っているだけで何もしていない宅地より、農業によって野菜などの生産物を日々生み出している農地の方が、商品である生産物を作っている生産的な活動を行っているため、土地代は高いというイメージを持つ人が多いことでしょう。しかし、都心の土地が驚くほど高い値段となっているのはよく知られていることですが、都会のさらにその中心である都心という立地条件の建物であれば、それだけ人が密集している地域であり、その土地の建物には多くの人が集まります。人が集まればその建物で商売をすればそれだけ利益も期待されます。しかし、農地で生産される野菜などは単価が安いものが多いです。農地という土地から生み出される商品での利益、宅地で大勢の人が集まる際の利益を比べてみると、農地は宅地に比べて安いという判断となり、その土地にかかる税金も安くなるということになるのです。

農業の支援情報の写真 農地の固定資産税が安いのは具体的にどういう理由?

先述した通り、宅地から生み出される利益に比べ農地が生産物によって生み出す利益は、ブランド化された野菜などの場合を除き、それほど大きくはないというのが現状です。例えば、農家が土地を田園として利用している場合、300坪の田では8俵程度の収穫が見込まれ、1俵は60kgで約13,000円ほどなので計算をすると年間10万円ほどの利益が出ます。生産をするにはそれなりの経費もかかるので、純利益は経費を差し引くと10万円以下となります。同じ300坪でも都心にある宅地の場合は、大勢の人が集まる場所ですからその土地で何かしらの商売をすれば、年間10万円以上の利益が出ることは確実でしょう。よって、農地と宅地には大きな差が生じるのです。そして、農地というものは文字通り農業をするための土地です。その土地を農業ではなく違う用途に使いたい、または売却したい場合は、農業委員会という組織に許可を取らなくてはいけない決まりがあります。ですから、固定資産税を安くしたいからといって、農業をやっていない人が所有している土地を形だけ農地に変えることは、原則的に禁止されています。それに対し、宅地は基本的にはその土地で何をやっても良い土地です。農業しかできずに利用範囲が限られている、そのため何をやっても良い宅地に比べ農地はその土地にかかる税金も安い、というのが農地の固定資産税が安い理由になります。

同じ農地なのに課税や評価が違う?市街化区域農地の問題

一口に農地といっても、2種類あります。市街化区域外である「一般農地」、そして市街化区域内にある「市街化区域農地」です。市街化区域農地はさらに3つの区分に分類され「生産縁地」「一般市街化区域農地」「特定市街化区域農地」があります。これらの農地は同じ農地として定められているにも関わらず、評価方法、課税方法が異なります。一般農地と生産縁地は農地評価、課税方法は農地課税であるのに対し、一般市街化区域農地は評価方法が宅地評価、課税方法が農地に準じた課税、特定市街化区域農地は評価方法が宅地評価、課税方法が宅地並み課税と設定されています。一般農地と生産縁地以外の2つの農地は市街地である、あるいは市街地化が進んでいる地域であることから、宅地並みの人口密集地であると見受けられているため、かかる税金もそれ相応の設定がされています。農業しかできない農地にかかる土地が、宅地並みの固定資産税がかかるということで問題となっているのです。このような問題を解決するには、「駅から比較的近い立地」という条件があれば、住居用に転用し売却できる可能性があります。そのような土地の査定をしてくれる専門の会社もあるので、農地所有者であれば相談をすることもひとつの手です。