日本の農業と聞くと後継者不足や自給率の低下といったニュースから、大変そうな仕事だというイメージを持つ人もいることでしょう。でも、ものづくりの原点である農業はたいへんやりがいのある職業であり、私たちひとりひとりの食生活や健康とも切り離せない大切な仕事でもあります。 農家に生まれ育って、長年誇りを持って仕事をしてきた両親の跡を継ぐ人もいれば、都会の喧騒に疲れ、一から新しい気持ちで自分のセカンドライフとして農業の道を選ぶ人もいます。では、日本の農業を担っているひとつの分野であるみかん農家の仕事について考えてみましょう。
みかん農家でのお仕事にはどんなものが含まれるのか
みかんは国内で最もたくさん生産されている果樹であり、広く日本人に親しまれている果物です。日本産のものは温州みかんという種類ですが、そこから派生した様々なブランドみかんが存在しています。 みかん農家の仕事内容とは、簡単に言ってしまえばみかんを栽培し、収穫するというもの。とは言っても、この中に含まれる仕事内容は実に多岐にわたります。みかんの木を植えて収穫するまで5~10年ほどの歳月がかかります。その間、農園の除草や整枝、剪定といった作業によって実がなりやすい環境づくりをします。春、夏、秋など季節ごとに肥料を与える仕事もあります。また、農薬を散布して病気や害虫などから大切な木を守る作業も必要です。 花が咲くと、みかんの実を大きく育てるために摘花をします。いよいよ実ができたら、実を収穫しみかんの選別を行うことになります。選別の際には大きすぎたり小さすぎたりしてサイズが規格外のものや、傷がついて商品にならないものを注意深く取り除きます。商品にならないものは地元で消費されたり、ジュース作りの材料になったりします。 みかん農家でのこうしたひとつひとつの作業の多くは手作業で行われており、手間や時間がかかります。大型のみかん農園ではモノレールやスプリンクラーなどの機械を用いて作業をもっと効率よく進めている場合もあります。
みかん農家の仕事を始めるには
多くのみかん農家もほかの農家と同様後継者不足という問題を抱えています。そのため、高齢者の経営していた果樹農家の農地を引き継いでみかん農家になる人も増えています。その場合には農業法人での研修やみかん農家でのアルバイトの経験などを通して、ある程度の専門知識と経験値が必要になります。そのように農業を実際に行うことで、農作業の技術と作業プランニングを学ぶことになります。地元の経験者から学んで、知識を深めることもみかん農家として成功するためには欠かせません。 また、みかん農家になるためにはある程度の土地や自己資金を所有している必要があります。みかんなど果樹の栽培には木を植えてから収穫までにタイムラグがあり、その期間は直接の収入を得られません。また、天候などに支配されることから年によって収穫高は異なります。みかんは豊作の年と収穫の少ない裏年とが交互に訪れる性質もあります。そのため、農業を経営するための費用や生活費を賄うための自己資金を準備しておくことが大切です。
みかん農家で働くには?
農業への志を持つ人はもちろん、田舎の雰囲気が好き、農作業をするのが楽しいといった様々なきっかけで、みかん農家で働きたいと思う人もいることでしょう。もし、みかん農家で仕事をしてみたいと考えているなら、求人募集のサイトを活用するのが近道です。特にみかんの産地である和歌山県や静岡県、愛媛県などではみかん農家の社員やアルバイトの募集を見つけやすいでしょう。みかん農園でのアルバイトには農家の繁忙期の短期募集や事務のバイトなど様々な形態があります。アルバイトの時給は900円前後のことが多いようです。 また、社員として働く場合の給与に関しては、契約社員は月給15万円以上、正社員は15~30万円程が目安ですが、みかん農園の規模やオーナーの意向などによってばらつきがあることを覚えておきましょう。 将来的にみかん農家として独立したいと考えている場合には、全国新規就農相談センターを始め農業ポータルサイトより求人広告を探す方法も有効です。