日本全国の農家ではさまざまな野菜が栽培され流通し、全国の食卓を彩っています。そこで疑問に思うのは、どの野菜が売れてどれくらいの利益を出しているのか、ということです。純粋に利益が多い野菜でも、野菜によっては栽培に手間もかかるため、利益は多くてもそれにかかった労働時間を考慮しなくてはいけません。 どの野菜が人気でどれくらいの売り上げになるか、野菜の品目別の所得や労働時間、栽培法の違いなどについて紹介します。
どんな野菜が売れてるの?品目別の所得
農家で栽培されている野菜は、どの野菜が売れているのか?それを一目瞭然でわかるデータがあります。農水省が「農業経営統計調査」という資料を公開しており、それに野菜の品目別の統計が掲載されています。外で栽培される野菜である露地野菜と施設野菜の2種類のデータがそれぞれ一覧となっています。 それによると純粋に所得(粗利益から経費を引いた数字)だけを見ると、露地野菜は1位シシトウ、2位ナス、3位キュウリ、4位と5位が同じ所得でピーマンとトマトになっています。施設野菜は1位ミニトマト、2位イチゴ、3位ナス、4位キュウリ、5位トマトという結果が出ています。大玉・ミニの2種類のトマト、キュウリ、ナスは露地、施設の両方で栽培できる野菜でどちらにもランクインしています。2つの栽培法でできる野菜はやはり人気があることがわかります。 所得としての純粋な数字はこのように出ていますが、人気の野菜はそれだけ生産量も多くその分労働時間も長いので、所得を労働時間で割るといった違う計算方法ではまた違った結果が出るでしょう。
野菜によって違う!野菜の栽培法
農家での野菜、果物の栽培法は前述した通り露地栽培と施設栽培の2種類があります。農家ではどの品目をこの2つの栽培法に分けているのでしょうか。 施設栽培で育てる野菜は、ビニールハウスで育てるため、露地栽培のように天候の心配がいらず安定した栽培ができ、出来上がりも水準の高いものに育ちます。ですから天気に弱いもので、人気の野菜や果物を中心に施設で栽培することになります。露地栽培で育てる野菜は天気に強いダイコンなどの根菜類、葉茎類が中心です。トマトや、キュウリ、ナスなどは人気の野菜で生産量も多いので、露地、施設の両方での栽培になります。施設野菜の方が出来上がりの水準が高いので、全部をビニールハウスで栽培することが望ましいのですが、施設栽培の場合、コストがかかることが問題になっています。ビニールハウスは1連の資材が安くても約60万円の費用がかかり、上等なアルミや鉄骨でできたビニールハウスだと1000万円以上の値段になります。その他にも費用がかかるため、施設栽培はコストが高くなるのが欠点でもあります。
売り方にも注意!野菜の販売方法いろいろ
栽培して見事に育った野菜たちも販売して利益を出さなくては意味がありません。野菜にはいろいろな販売方法があります。 「青果市場でセリにかける」、「スーパーマーケットやコンビニなど小売店で直売」、「農業総合研究所など農作物流通ベンチャー企業の利用」、「直接レストランに販売」、「野菜セットなど直接消費者に販売」、「小売業者と契約出荷」など、販売方法は多様にあります。それぞれの販売方法には特徴があるので、その特徴を把握して販売するようにしましょう。 例えばスーパー、コンビニで販売する場合は、「数日間、店に置いてもらえるのでまとめて出荷できる」、「見切り品を半額で販売してもらって処分してもらえる」、「好きな時期に好きな量を出荷できる」などのメリットがあります。その反面「特売、激安が売りのスーパーの場合、安い値段で売られてしまうことがある」などのデメリットもあります。 どの販売方法にどんなメリット、デメリットがあるかを考慮して売りに出しましょう。そして、どの販売方法でどの品目の野菜が売れるかなども、頭に入れておくことが重要です。