TPPの問題で注目が集まっている国内の農業問題。若者の農業離れによる農業従事者の高齢化や食料自給率の低迷など、問題は山積みといわれています。日本全体で法整備などの対策を講じていますが、まだ完璧とは言えないのが現状です。 海外の大規模な農業に比べて人口が多く農地面積が小さいといわれている日本は、今後世界でも戦えるのでしょうか。今回は、日本の農業と世界の農業を比較し、日本の農業が学べる点について迫ります。
日本は世界でも遅れている!?日本の農業の特徴
日本の農業の特徴は、3つ挙げられます。 1つ目が「農地面積の狭さ」。アメリカやオーストラリアと比較しても、国土が狭いのは地図を見れば一目瞭然です。そのうえ日本は山林が多く、また人口が多いため農地に割ける面積が少ないのです。戸あたりの耕地面積で言えば、世界的に見ても下位に位置します。また化学肥料の量が多いのも特徴の一つで、少ない面積に投下される資本が多いことから集約農業ともいわれています。 2つ目が「農業従事者の高齢化」。65歳以上が農場従事者の大半を占め、若者が参入しにくい業種といえます。副業で農業に従事する人も多く、後継ぎがいないなどの多くの問題が将来の日本の農業を不安にさせているのです。これについては国も問題視をし、各自治体や農業組合などが研修制度の整備など積極的に取り組んでいる最中です。 3つ目が「食料自給率の低さ」。全体でも約40%ですが、穀物に着目すると約30%になっているのが現状です。特にトウモロコシや大豆などはほぼすべてを輸入に頼っています。
大規模農業が主流!海外の農業の特徴
海外といっても農業事情は様々です。特筆すべきは、農業大国といわれるアメリカでしょう。日本の農業が少ない面積で多くの資本を費やす集約農業なのに対して、アメリカの農業は「大農法」といわれています。大農法とは、少ない人手で多くの面積を大型の機械で管理するというもの。アメリカのほかにもヨーロッパなどで主流の大規模農業のことです。少ない労働力で多くの農産物を生産できるので、非常に効率の良いやり方ともいえます。この効率の良さが貢献して農産物の「コストが低い」というのも特徴の一つです。国産の農産物に対してアメリカ産のものが安いというのはこうした事情があるわけです。 また世界規模で見ると、「食糧問題」が深刻になっています。農業大国の欧米に対して、特にアフリカ諸国は農産物を他国に頼るほかなく、飢餓で亡くなる子供が多いのも事実です。経済の成長具合や生活レベルの向上などによって食生活も変化しますが、各国が自給自足できる状態になるのが急がれています。
日本の農業の問題点は?世界の農業から学べること
日本の農業の問題点は、面積に対する資本の多さ、またそれに伴う農産物のコストの高さです。これには国土面積の狭さや人口、農業従事者の問題もすべて関わってくるので一概に世界の国々と比較するのが良いとは言い切れません。その国にはその国に合った方法があるはずで、特に国土の狭い日本はアメリカを見習うのは得策ではありません。そこで日本の農業事情とよく比較されるのがオランダです。 オランダは九州程度の面積しかないにもかかわらず、アメリカに次ぐ食糧輸出国で知られています。オランダの農業の特徴は、「特定品目に絞って集中していること」。トマトやパプリカなど少数の農産物に集中しており、これが輸出競争力につながっていると考えられます。また観賞用植物やたばこなど純粋な農産物ではないものに力を入れているのもポイント。それらを陸続きに輸出できるというのも日本には真似できない点です。 日本が学べるとすれば、農業の効率化でしょうか。少ない面積に多くの資本を投資する集約農業から、他国の良い点を取り入れて効率化を図っていくことが大切なのかもしれません。