みなさんは「農業」というとどういったイメージを持っているでしょうか。日本の農業は山地が多い地形上の問題もあって、他の農業先進国と比べると一筆あたりの耕地面積が小さいため、作業効率がなかなかあがらないという問題を抱えていました。また、販売方法も仲卸業者を経由しての出荷形態が大部分を占めていたため、農家の手取り収入を増やすことが難しいという問題も抱えていたのです。 しかし、近年政府による支援やITの発達によって農業をとりまく環境が変わってきています。どのように変わっているのか一緒に考えてみましょう。
今後は日本独自の農業の強みを活かすことを考えよう
日本における農業の最も大きな問題はアメリカやオーストラリアといった農産物輸出国に対して、一筆あたりの耕地面積が小さいため生産コストを抑えることが難しく価格が高くなってしまうということです。しかし、こういった問題に対して発想の転換を図ることで状況を打破してきている農業者も存在します。それは「価格が高い分、高付加価値のある農作物を作れば良い」という考え方です。農産物の安全性という面で日本の検査基準は他国と比べても非常に高い水準を誇っています。また、日本の農業技術も各段に進歩を遂げており、品種改良を重ねることによって、収穫量を高めつつ品質の良い農産物を作っています。日本の農産物の特徴である「安心、安全性」や「高品質」といった部分を活かして、ブランド化を行い、海外へ輸出する農家も増えています。 今後もこの流れは加速していくと考えられ、いつかは自動車や精密部品などのように「メイドインジャパン」といわれるようになる日がくるかもしれません。
IT化により、出荷方式も徐々に変化しています
ITの発達により、農作物の販売方法も多様化しています。一昔前までは市場に出荷してそれを仲卸業者がスーパーなどに販売する方法が主流でしたが、近年ではインターネットで直送をする方式も徐々に広がりつつあります。 従来の出荷方式では多くの人が地元の農協に出荷を行い、農協がまとめて市場に送るという方法を利用していました。しかし、このような方法ではいくら良い農産物を作っても等級による違いはありますが一律に値段が決められてしまいます。また中間業者が入ることで高い値段がつけにくくなるというデメリットもありました。インターネットで直送をすることでこのような問題をクリアすることができるので、農家の手取り収入を上げることができます。 また、日本では少子高齢化が進んでおり、今後も人口は減少していくといわれています。そのため、日本国内の市場は縮小していくと思われますが、インターネットなどで直送する方式で販売していれば海外へ輸出することのハードルもそれほど高くありません。このような販売形態をとっている農家はまだ少数派ですが、今後は徐々に広がっていくのではないでしょうか。
農家を支援する制度はたくさんあります
日本の食料自給率の低迷やTPP交渉により農作物の関税が引き下げられるという憶測もあって、農業を支援する様々な制度がスタートしています。 例えば農林水産省が行っている「青年就農給付金」があります。利用するためには「都道府県等が認めた研修期間で1年以上の研修をすること」や「就農予定時の年齢が原則45歳未満であること」などの条件を満たす必要がありますが、条件さえ満たせば前年の所得に応じて一定額の給付金を受け取れる制度です。給付期間は「就農前の研修期間(2年以内)及び経営が不安定な就農直後(5年以内)」となっています。農業の場合、最初の収穫が始まるまでは基本的に無収入になりますので、新規就農者にできるだけ安心して就農してもらえるように支援することがこの制度の趣旨です。 また、国だけでなく各都道府県や市区町村でも個別に農業に対する支援を行っている場合がありますので、各役場の農政課へ問い合わせてみるとよいでしょう。このような補助金については、積極的に広報してくれることはありません。基本的には近くの農家仲間に聞くか、自分で役場に行って情報収集をすることになりますので、常にアンテナを張り巡らしておくようにしましょう。