現役世代が田舎暮らしをしようとするならば一番考えなければならないのは仕事のことです。田舎には仕事が少ないと言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか。
田舎には求人がない?
都会を離れ豊かな自然の中で四季を感じながら暮らしたいと思っても、生活の糧を得る手段が確保できなければ田舎暮らしは夢のまた夢です。まずは働く場所があるのか、そして自分にあった仕事があるのかが気になるところです。田舎には求人がないと言われますが、それは都会と同じレベルの条件を求めているからです。確かに賃金は下がりますが、田舎は生活費や娯楽にかかるお金が格段に少なくて済むことを頭に入れておきましょう。
まず現地でやみくもに動くよりも、田舎にはどんな求人があるのかハローワークで探してみるのがおすすめです。転職を考える際に一般的には人材紹介会社や転職サイトなどを利用しますが、田舎での求人が登録されることは少ないです。そこで登場するのがハローワーク。移住先がまだ決まっていない人は、農場や陶芸など自分がやりたい仕事がある地域から探すという方法もあります。
その他にも、田舎の求人は都会でも探せることを知っていますか。自治体の就職相談窓口が集中する東京・有楽町のふるさと回帰支援センターなどでは、地方への転職をサポートする就職相談員を置いている自治体もあり、就職のマッチングを行っています。自治体の相談窓口には希望する移住先とつながる人脈を持つ担当者もいます。直接顔を合わせて話すことで、向いていそうな仕事を地元の経営者や農家など個人が持つネットワークから紹介してくれることもあります。
どんな業種の求人があるのか
仕事を探すときのポイントは条件をしぼり過ぎずに、間口を広く持って自分の能力を活かせるような職場を探しましょう。求人が増えるのは1月から3月で、業種で多いのは建設・医療・介護・農業・農業関連の6次産業ビジネスです。各地方で誘致しているICT関連・コールセンターがあればチェックしましょう。
また手に職があるという人ならば、地元の有力企業からの求人も見込めます。特にIT技術者や製造業の設計技術者などは、地方では人手不足の傾向にあるため好条件で採用されるケースも少なくありません。特殊なスキルがなくても、都道府県などで実施されている公共職業訓練を受けることで異業種への転職をサポートしているケースも見られます。京都にある陶芸家を養成する訓練校や、長野にある木工家具技術を学べるコースなどがその例です。
都道府県によっては住まいと仕事をセットで紹介してくれる定住プランもあります。島根県への移住を支援するふるさと島根定住財団では、田舎ならではの様々な仕事を提案しています。内容は、ナシの栽培・天然酵母パン職人・畜産農家・日本酒造り・スポーツイベントプランナーなどユニークなものばかり。東京でも定期的にフェアを開催しているので、こまめに足を運んでみることが良い出会いにつながるでしょう。
平均的な給料は?
田舎の仕事探しでネックになるのが給与面です。地方にもよりますが求人の年収は300万円までがほとんどです。月収では20万円程度で、初任給はそれよりも下がります。住まいや食費、娯楽にかかるお金は田舎では格段に少なくて済むため、元の収入との差がそこまで大きくなければ、ストレスなく生活できるでしょう。それ以上の給与を求めるのならば民間の人材紹介会社で探す方法もありますが、そもそも田舎で年収の高い仕事は数が限られるため見つけにくいのが現状です。また、都会では専業主婦の女性も珍しくありませんが田舎では共働きの家庭が多いです。一人分では年収が少なくても、女性も働けば世帯年収は増えます。都会のような給与水準は望めませんが、保育園には問題なく入れますし通勤時間も短いです。働く女性が当たり前なので子育てや介護に理解がある職場が多く、働かない手はありません。
都市の隣県の田舎を選ぶならば、夫婦のどちらか一人は都会で会社勤めをしたまま、もう一人が田舎で農業を始めるといったパターンもあります。週末にいっしょに田舎で過ごし、農業が軌道に乗ってから二人で田舎暮らしを始めるならばリスクも少なくなります。