農業に興味はあっても、うまく育てられるか心配、土地を借りるのが大変などの理由から、二の足を踏んでしまう人は多いようです。そんな人には市民農園がおすすめです。農業のプロから指導を受けながら、野菜作りを楽しむことができます。今回は市民農園のメリットや利用方法を解説します。市民農園の開設方法についても紹介していきますので、農地活用に困っている離農者の方には必見です。ぜひ、参考にしてみてください。
地域でコミュニケーションを図る!市民農園とは?
市民農園とは都市部住民の余暇活動のための農園のことで、都市と農村を結びつける手法として注目されています。2013年の市民農園の数は4,113件で、その79%は都市的地域にあるのが大きな特徴です。市民農園では、就農者以外の住民が農業に親しむことを目的としていて、子どもから大人まで利用されています。農園によって農機具の貸出を行っていたり、栽培マニュアルを用意していたりするので、農作業初心者や子どもでも気軽に参加できるのが大きなメリットです。親子や夫婦間でコミュニケーションを深めるきっかけづくりにも一躍かっていて、実際に夫婦間での会話が増えたという例もあります。近所で利用できる市民農園を探すには、インターネットで検索するのが早いです。農林水産省のwebサイトで都道府県別の全国市民農園リストを公開していますので、興味のある人はぜひ参考にしてみてください。週末農業で参加したい市民農園が見つかったら、農園に連絡をして応募方法を確認します。応募時期は3月頃から始める農園が多く、競争率が高いと選考から漏れてしまう可能性もありますので、複数の農園に応募しておくと良いでしょう。通過できたら市民農園と契約をしていよいよ利用開始です。
市民農園って利用したことある?
おいしくて栄養価の高い野菜に関心が集まる中、実際に市民農園を利用した経験のある人は、どのくらいいるのでしょうか。
- 【質問】
- 市民農園を利用したことはありますか?
- 【回答結果】
-
回答 回答数 ない 164 ある 56 調査地域:全国
調査対象:年齢不問・男女
調査期間:2017年08月02日~2017年08月09日
有効回答数:220サンプル
意外と少ない?市民農園の利用者
アンケートの結果、75%の人が市民農園の利用経験がないと答えました。
- 友人が市民農園を利用して野菜作りをしており、おすそわけを時々頂くので、自分もやってみたいといつも思っている。しかし仕事が忙しく、なかなか市民農園を借りにいくことができていないのが現状。(50代/女性/派遣社員)
友人知人がやっている、おすそわけをもらうなどの理由で興味を持つ人が多いようです。ただ、興味はあるけれど近所に市民農園がないという意見が多数挙がりました。
- 親は元々植物が好きで、広い場所で無農薬野菜を育てたいと借りることになり、時々その手伝いで一緒に作業をしているうちに興味を持ちました。一家族に一区画しか借りられないので自分名義ではなく、親名義です。(30代/女性/個人事業主・フリーランス)
家族のなかで農業に興味を持っている人がいれば、その影響を受けて次第に積極的に取り組みたいという人は意外と多いのかもしれませんね。
都心部の市民農園は数が少ないうえに競争率が高く、利用したくてもできない人がたくさんいました。市民農園が増えてきたとはいえ、まだまだ消費者ニーズに答えきれない現状があるようですね。
市民農園で週末農業して、ストレスフリーな大人へ!
仕事や家事などでストレスを溜めている人には、市民農園での週末農業がおすすめです。都心部に住んでいると、自然に触れる機会が少なくなりがちです。自然の緑には、リラックス効果があることは広く知られています。農作業は自然の産物に直接触れる行為ですので、ストレスがたまった大人の癒しとしてピッタリです。市民農園経験者のなかには、黙々と雑草を抜いていると無心になれてストレス解消になるという人もいるほどです。週末農業で適度に体が疲れれば、夜はぐっすり眠ることもできます。また、採れたての野菜は、収穫から時間の経った野菜よりもおいしいものです。家族全員で市民農園に参加すれば子どもの食育につながり、野菜を育てる喜びを知ることができるうえに、その格別の野菜を味わうこともできます。農作物の収穫量は天候に左右され、災害が多かったり悪天候が続いたりすると、野菜の価格が高くなることはしばしば見られます。そんなときでも、市民農園ではおいしい野菜を確保できるということもメリットです。もちろん、市民農園で栽培した農作物も、収穫量は天候によって変わります。しかし、家族で食べる分だけなら、多少収穫量が少なくても十分でしょう。特に子どもが多い家庭は食費が高くなりやすいので、節約のためにも、ぜひ週末農業を考えてみてはいかがでしょうか。
農地の活用で困っている農家へ!市民農園の開設方法
余っている農地の活用法に困っている人は、市民農園の開設を考えてみてはいかがでしょうか。市民農園を開設できるのは、地方公共団体・農業協同組合、農地所有者(農家)、企業・NPO団体の3形態です。農園や農業に関するノウハウを有している農家なら、直接市民農園を開設するのがいいでしょう。しかし、親の農地を相続したけれども子どもが非農家である場合、市民農園を運営していくための知識が不足していて、消費者の農園利用率が低下してしまうケースがあります。開設手続きやその後の運営に関する手間がかかることを考えると、農協や企業などに農地を貸し付ける形態がおすすめです。市民農園を運営していくには、利用客の獲得が重要になります。都心部から通いやすい、駐車場が充実している、農機具を貸し出してくれるなど、利用率を上げるためのポイントは開設前に必ずチェックするようにしましょう。利用者を獲得するために、農園に関する情報発信も欠かせません。若い世代から高齢世代まで幅広く募集をかけるなら、webサイトを独自に設ける、市区町村のwebサイトに情報掲載してもらうなどの方法があります。地元住民に広く周知するなら、農園近くに看板を立てる、新聞に折り込みチラシを入れる、市町村の広報を利用するなどの方法もあります。
まとめ
イチから農業を勉強するのは大変ですが、市民農園を活用すれば、栽培や野菜に関する知識や技術を楽しく覚えることができます。親子間や夫婦間、地域住民同士でのコミュニケーションづくりの一助にもなることもあります。このように、週末農業は農業に関心のある人はもちろん、それまでなかった人にも野菜作りを通して大きなメリットを与えてくれるでしょう。また、利用していない農地の扱いに困っている人は、市民農園として活用することで土地を効率的に管理できます。農地所有者も、市民農園の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
※参考URL
農林水産省、「平成26年度「農」のある暮らしづくり交付金事業 地方における市民農園の開設促進策」、http://www.hit-north.or.jp/houkokusyo/2014shiminnoen.pdf
リクナビNEXTジャーナル、「仕事で疲れた心を潤せ!週末農業のススメ」、https://next.rikunabi.com/journal/entry/20151028_1
農林水産省、「全国市民農園リスト(28年3月末現在)」、http://www.maff.go.jp/j/nousin/nougyou/simin_noen/s_list/index.html
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