農業就業人口の減少が止まらない!若者が農業に興味を持つポイントはある?

 

ha01_00_1農業就業人口の減少が叫ばれるようになり、国はさまざまな施策を打っています。しかし、実際は人口減少に歯止めがかかりません。それに加えて就農者の高齢化は止まらず、日本の農業の未来を考えると若者の農業就業人口を増やすことが急務です。若者と農業を取り巻く現状はどうなっているのか、農業就業人口の推移を見ながら農業のこれからについて考えていきます。

深刻な若者の農業離れ… その原因を探る

ha01_00_2若者の農業離れは、時代の流れや社会風潮と関係しています。大きく関わっているのは食生活の変化です。昔から米を主食とし、魚や地域の野菜などを食してきた日本人ですが、食の欧米化にともない米や野菜を食べなくなりました。国産食料消費量の割合のことを食料自給率と言い、食料自給率が高いほど、国産の食料が消費されていることになります。農林水産省の食料自給率の推移を見ると、2016年の米の食料自給率は97%です。対してパンやケーキに多く使われる小麦の食料自給率は12%。現在米の消費量は減少傾向にあり、反面パンの消費量が上がっています。国産の農産物消費の減少は農産物の売上に直結します。農産物が売れなければ農家は打撃を受け、離農する人が増加してしまいます。農業が儲からないとなれば、農業を志す若者が増えないのも当然のことと言えるでしょう。大学進学が当たり前になり、都心集中型の食生活を送る若者が増えたことも農業離れの一因です。農村部は当然都心から離れた場所になりますから、田畑や自然から離れて生活を送る若者にとって、農業は遠い存在になっています。いざ農業を志そうと思っても、新規就農に際してのハードルの高さも、農業離れに拍車を掛けています。就農するためには数百万円単位の初期費用が発生します。歳が若ければ若いほど自己資金は少ない傾向にあり、就職難や不況によるボーナスカットなどにより、貯金をするにも時間がかかります。必要な資金を貯めることができたとしても、就農後の売上が約束されたわけでもありません。自然が相手の農業は天候をコントロールすることは不可能で、水害や天災などの災害によって不作になることがあります。農産物は生き物ですから常に観察する必要もあり、特に就農初期の頃は休みなく働かなければなりません。就農しても成功するかどうかはわからず、これが若者の農業離れと農業就業人口の高齢化を進めている大きな原因となっています。

農業就業人口は減少しているが農業を志す若者は増加傾向?

ha01_00_3農林水産省の調査によれば、2010年の49歳以下の新規就農者人口は約1万7千人ですが、2015年になると約2万3千人まで増加しています。農業就業人口の減少スピードに比べると新規就農者の数が少ないため、まだまだ人口減少を止めるまでには至っていませんが、衰退の一途をたどる農業界においてはポジティブな傾向だと言えるでしょう。農業を志す若者が増加している原因のひとつは、長く続く就職難にあります。以前と比べると持ち直してきたとはいえ、学生が就職活動に費やす労力は並大抵ではなく、いざ入社できても一度離職してしまうと転職が困難という現状が待っています。低賃金に長時間労働、社内の人間関係など、劣悪な環境で働いたことのある若者が増え、それが田舎暮らしの憧れにつながっています。大量生産・大量消費の中生活してきたバブル時代から、スローライフへとその思考が変化してきたことも見逃せません。スローライフとは古くからある食生活を大切にしようという考え方で、もともとはイタリアが発祥です。日本へ広まったのは2000年代初めで、バブル崩壊から10年以上経った頃でした。スタイル維持や美の観点から特に女性の食生活はヘルシー志向になり、農薬を使わない安全な農産物を求める傾向に変わっていきます。同時期に農業就業人口の減少を重く見た政府が、新規就農者に対しての施策を打ち出しました。それが就農準備や就農開始にともなう自治体の支援事業です。年間150万円の支援を受けることが可能となり、最低限の資金で就農できるようになりました。自治体による研修制度や住まいの提供、独立に際しての支援制度が充実してきたのです。これまで敷居の高かった農業の世界に未経験から飛び込むことができる環境が整い、世相の影響もあって農業に意識が向かう若者が増えてきました。地方から都会へ出てきた若者によるUターン現象や、都心からまったく関わりのなかった地方へ移り住むIターン現象も見られるようになります。まだまだ農村部の過疎化を補うには足りませんが、少しずつ日本の農業にも光が差し込んでいる現状があります。大切なのはこの増加傾向が続くことで、新規就農した若者世代が農業を継続していける環境づくりが重要です。

農業に興味を持ったきっかけは何ですか?

農業に興味のある男女236名を対象に、興味を持ったきっかけについて聞いてみました。

見て食べて体験して農業に興味を持った!

【質問】
農業をやってみたいと何を見て思いましたか?
【回答結果】

フリー回答

調査地域:全国
調査対象:年齢不問・男女
調査期間:2017年08月02日~2017年08月09日
有効回答数:236サンプル

  1. 実際に家庭菜園で野菜を育ててみて、農業をやってみたいと思った。(30代/正社員/男性)
  2. テレビの番組で素人の方が農業をしている場面を見たときです。(70代/無職/男性)
  3. 昔から、おじいちゃんの家は兼業農家で手伝っていたので、やってみたいというよりやるのが普通の生活でした。(50代/正社員/男性)
  4. 父の実家が農家なので、昔から農業には親しみがありましたが、やってみたいと思ったきっかけは知人の農業女子を見ていいなと思ったからです。(40代/個人事業主・フリーランス/女性)
  5. 知人が伊豆で自然栽培の畑をしていて、その畑で育った人参を生でかじらせてもらったときの甘さに感激したとき。(40代/個人事業主・フリーランス/女性)

実家が農家だったりテレビ番組を通してだったりと、農作業に興味を持つきっかけになった媒体は人それぞれですが、働く人の姿を通して農業に魅力を感じる人が多いようでした。
農作業に向かう姿が生き生きと楽しそうに見えると、自分もやってみたいと思うようですね。農業をめざす若者を増やすためには、農業の魅力を伝えることが重要だと言えそうです。

若者の農業ブームを起こした火付け役は誰?

ha01_00_4アンケートの結果では、テレビ番組を見たことで農業に興味を持ったという意見が半数以上を占めていました。その中でもっとも多く挙がっていたのがテレビ番組でした。人気アイドルグループが実際に農業を体験している姿は、多くの視聴者に影響を与え、なかでも若者の農業ブームの火付け役になっていると言えそうです。農家とともに汗を流し、種まきや苗植えから、成長過程に起こるさまざまな問題を乗り越えて収穫を迎える。この流れを、テレビ画面を通して目の当たりにすると農業にチャレンジしたいと思う人が増えても不思議な事ではないでしょう。また、婚活として農業男子に憧れる女性が農村部に赴き、農家として働く男性とお見合いパーティーをするイベントも行われています。働く女性が増えたこと、社会人になっても実家で暮らす大人が男女ともに増えたことから晩婚化が進んでいる日本ですが、結婚を希望する男女も多いもの。農家男子とのお見合いパーティーは、仕事が忙しく出会いの場がないと嘆くアウトドア派の男女を結びつけるイベントとして人気です。結婚とは別に、農家になりたいとその身一つで農業の世界に飛び込む女性も少なくありません。なかには、女性だけで構成される農業チームもあるなど、農業の世界では女性の進出が全国的な広がりを見せています。将来子どもができたときに安全な野菜を食べさせたい、おいしい野菜を全国に届けたいと考える女性が多く、女性向けの農作業ファッションブランドも誕生しました。テレビ番組やイベント、ファッションなどによって、汚い、かっこ悪いなどの従来のイメージが払拭され、農業に対して健康的なイメージを持つ若者が増えたことが、農業ブームにつながっていると言えそうです。

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シェア畑

まとめ

農業就業人口の減少や若者の農業離れと同時進行している若者の農業ブーム。まだまだ増加傾向は少ないですが、これから農業の魅力をさらに発信することができれば、農業を志す若者が増えていくことにつながります。ただし、いくらポジティブなイメージが大きくなっても、厳しい仕事であることに変わりはありません。常に勉強する姿勢を忘れず、常に充実した気持ちで農業に取り組む人が増えれば、良い意味で影響されて新規就農をめざす若者が増えるのではないでしょうか。