目指せ新規就農!成功するための研修先の選び方とは?

挿絵1新規就農を目指すのであれば、就農を成功させるために必要な課題や考え方、研修先の選び方について知ることが不可欠です。農業だけで生計を立てていくにはそれなりのノウハウや資金繰りの方法について知っておいたほうがきちんとした対策を行えます。よく分からないままただやってみるだけでは何がいけなかったのかわからないまま農業から手を引くという事態にもなりかねません。そのようなリスクを避けるために、新規就農で必要な知識や情報について学んでいきましょう。

新規就農者は農業だけで生活は成り立っているのか?

挿絵2新規就農者は年々増加傾向にありますが、農業だけで生計を立てていくことができているのは少数というのが現状です。全国新規就農相談センターの調査によると、2017年時点で生計が成り立っている新規参入者の割合は全体の24.5パーセントという結果となっています。つまり、単純計算をすれば新しく農業を始めた人で上手く生計を立てられるのは4人に1人程度ということです。しかし、これはあくまでも新規参入時点の統計になります。
農業所得の将来性に希望を見出している意見は少なくないですし、3~4年目や5年目以上になってから農業所得で生計を立てられるようになった農家は多いです。農業を始めたての1年目の時点では、所得不足分をいかに補填するかが重要になってくるといえます。全国新規就農相談センターの調査結果によると、主な補填方法としてはまず青年就農給付金の利用が挙げられます。他の方法としては農業以外の収入や就農前の貯金などを資金として当てているケースが多くなっています。つまり、これから新規就農者として働きたいと考えているのであれば、所得が足りなかったときの備えとして青年就農給付金の申請方法や受給方法、自己資金の準備をしておくのが望ましいといえるでしょう。

新規就農で生計を立てるのは難しいけど…それでも農家やりたい?

グラフ新規就農者は全国的に多くなっているため、ライバルが少なくはないのが現状です。農業として独立するわけですから、生計を立てるためのハードルは高くなりがちです。その中でも農業をやってみたいと考える人はどのくらいいるものなのでしょうか?就農したいと思うかどうかについて調査しました。

【質問】
新規就農で農業のみで生計を立てるのはかなり難しいという統計が出ています。それでも就農したいと思いますか?
【回答結果】
回答 回答数
思う 89
思わない 131

調査地域:全国
調査対象:年齢不問・男女
調査期間:2017年06月16日~2017年06月23日
有効回答数:220サンプル

思わない派が多数!リスキーに感じてしまう?

220人中131人が生計を立てるのが難しい、新規就農はしようと思わないと回答しています。

  1. 大変な思いをして作ってもそれで生計を立てられないのなら趣味の範囲で自分達の食べる分だけを自由に作りたいです。(30代/女性/正社員)
  2. 軌道にのってもリスクの高い仕事なのに、統計で生計を立てるのが難しいと言われているものにあえてチャレンジする勇気はないから。(30代/女性/個人事業主・フリーランス)
  3. 家族を養っていけないから。(60代/女性/専業主婦(主夫))

生計を立てるのが難しいと聞くとリスキーに感じてしまうのか、そこまでしてやろうとは思えないという回答が目立っていました。リスクを背負ってまでやる勇気がない、家族を養えないなどの問題から興味はあってもなかなか踏み切れないようですね。あくまでも趣味の範囲でやりたいという回答も少なくはなく、生活に支障がないようなレベルで取り組みたいと思うものなのかもしれません。
一方で、就農したいと思うと答えた人は220人中89人でした。

  1. 結果は二の次で、納得いくまで行いたいからです。(30代/女性/無職)
  2. 自分でやっただけの見返りがあるので、会社勤めと違いやる気が出るから。(40代/男性/正社員)
  3. やっぱりそれは工夫次第だし、ほかに仕事を掛け持ちすればいいと思うから。(10代/男性/学生)

収入よりもやりがいや興味を優先した回答が目立っています。こちらの回答ではやり方次第や工夫次第という意見も多く、生計を立てるのが難しいことがリスクだとは感じていない傾向にあるようです。
アンケートの結果、生計を立てるのが難しいことをリスキーに感じてしまう意見が多くなってはいたものの、やりがいを優先して取り組んでみたい人も少なくないことがわかりました。新規就農者の中には実際に生計を立てている人がいるのも確かですから、そのために必要なことを見ていきましょう。

就農を成功させるためには農業の技術だけ学んでもダメ?

就農を成功させるためには農業の技術は必要不可欠ですが、それさえあれば成功できるという単純なものではありません。農作物を育てるための方法だけではなく、経営をしていく方法や収入を得るためのノウハウについても十分な知識を得る必要があります。さらに、育てた農作物の販売先を得るための営業能力も必要とされるでしょう。高品質な農作物を作れればそれだけ注目を浴びやすいのは確かではありますが、周知してもらうための営業をかけなければそもそも販売が上手くできないので丹精を込めて育てる意味もなくなってしまいます。
趣味の範囲ではなく、本格的な農業の経営をしていきたいと考えているのであれば、自らが経営者であるという自覚を強く持つことがまずは大切です。自覚が強ければ、それだけ真剣に農業へと取り組むことができますし、売上の向上や事業の拡大をするのに今やるべきことも見えてくるでしょう。経営に必要な農作物の育て方や運営のノウハウ、営業の方法をしっかりと身に付けたうえで、さらに農業を成功させるためのコツについて追求していく姿勢が重要になります。

就農を成功させるための研修先の選び方

就農を成功させるために勉強をするなら、まずは研修先選びを慎重に行いましょう。研修を終えた後にも引き続きその土地で就農したいと思えるかどうかを指標にしてください。なぜなら、自分の経営のために土地を探したり、農耕に必要な機械を購入したり、さらには販路を確保したりしなければならなくなるためです。研修した地域と同じ場所でなら、土地勘もありますし、気候についても把握できているのでスムーズに経営を始められます。それに、就農は地域と密着に接することになりますから、その土地で新規就農者として受け入れてもらわなければ上手く経営をしていくことができません。研修の段階で人脈を作ったり、地域に認めてもらったりしておけば、新規就農者になった後は順調に営業をかけやすいです。研修先にした受け入れ農家との関係が良好であれば、研修を終えた後でもわからないことを気軽に質問することもできるでしょう。
ただ、就農を成功させるためだけではなく、自分自身のやりがいを基準に研修先を選ぶことも重要です。どんな作物を育てたいのかを明確にしたうえでなら、後になってやはり他の場所にすれば良かったと思えるような事態を避けられます。高いモチベーションを維持するためにも、どんな目的でどんな作物を育てたいのかは早い段階で明確にしておきましょう。

まとめ

新規就農者になること自体はさほど難しいことではありませんが、農業だけで生計を立てていくことの難しさは前もって知っておいたほうが良いでしょう。ただし、経営者としての自覚をきちんと持ち、高い売上を確保するための努力や対策をしっかりと行えば、農業一本だけで生活していくのは不可能ではありません。就農を成功させるために、まずは研修先を正しく選ぶところから始めてみてください。研修先でしっかりと勉強をし、将来的な経営の準備も行っておけば、生計を立てるためのハードルを下げることができるでしょう。

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