日本のアニメは、聖地巡礼という形でファンが現地に赴き、町おこしに発展することもあります。実際にファンの囲い込みに成功し、町おこしにつなげることができた自治体も存在します。例えば、茨城県の大洗町です。大洗町ではアニメとコラボすることで、多くのファンが現地に赴き、多くの経済効果を生み出しました。しかし、アニメと町おこしにはどのような関係性があるのでしょうか。今回は、アニメとコラボすることによる町おこしの関係性についてご紹介します。
アニメが町おこしに役だっている!
アニメコンテンツは、架空の土地を創造しキャラクターをおいて作ることもありますが、実際の都市に行きロケハンしてアニメーション化することもあります。そのアニメが良い評判を生み、多くのファンを獲得できた場合、ファンがその土地に実際に足を運ぶこともあります。この行為を聖地巡礼といいます。聖地巡礼したファンは、アニメに登場した商品やお店に行き、それを買ってSNSにアップします。それが連鎖を生み、多くのファンがその地を訪れるようになるのです。すでに、様々な自治体が聖地巡礼による恩恵を受けており、現在ではアニメーション会社を町おこしのために招致している自治体もあります。また、その作品が好きすぎてその地に移住するというファンもいます。その地に定住すればファンにとっても自治体にとってもwin-winの関係ですので自治体も力を入れています。結果として、アニメが町おこしに役立っていると言えるでしょう。過疎化してしまい、後継者がいないという土地でも、一度アニメ化されてしまえば、その地が聖地になり多くのファンが訪れる可能性があります。
アニメファンが聖地巡礼でもたらす経済効果とは
埼玉県・久喜市にある鷺宮町はアニメ「らき☆すた」の聖地です。聖地巡礼の火付け役になったとも言われています。そのほかにも京都では「けいおん」、茨城県・大洗町では「ガールズアンドパンツァー」などがそれぞれ多くの経済効果をもたらしています。実際に埼玉県・久喜市は、らき☆すたの聖地巡礼によって、アニメの放映に伴い次第に訪問者が増えていき、3年間で22億円もの経済効果があったと発表しています。また、先述の「ガールズアンドパンツァー」の聖地である茨城県・大洗町を走っている鹿島臨海鉄道は、アニメの聖地になる前は赤字でしたが、ラッピング車両などを企画したことにより経常利益が黒字に回復したとも発表されました。このように、アニメファンが聖地を巡礼することで多くの経済効果が生まれています。中には、アニメが不評で町おこしに失敗したという自治体もあります。すべての聖地が成功したというわけではないので注意が必要です。
アニメで町おこしが成功する?その真偽は?
アニメ化=聖地化=町おこしの成功という式は必ずしも成立するわけではありません。例えば、鳥取県・岩美町は「Free!」という男子高校生の青春を描いた アニメの聖地になりましたが、長続きせずに失敗したと言われています。成功する要因としては、「ファンの固定化」と「町おこしに対する自治体の協力」が必要です。アニメだけが燃え上がっても、自治体が協力していない場合は長続きしません。例えば、茨城県・大洗町の場合は町が全面協力し、聖地化を促進したことで町おこしに成功したといえます。このように、アニメの聖地になったからといって、必ずしも町おこしにつながるというわけではなく、自治体の協力があってこそ成功するものになります。農業を舞台にした「のうりん(岐阜県)」は、多くのファンがその地を訪れ、実際に農業体験などをして、感想をSNSなどにアップしています。農業を発展させるためには、農業に対する面白さを伝える必要があり、人を集めるために、農業物のアニメを作ることが必要不可欠なのではないでしょうか。