労働力不足
近年の農業の高齢化や労働力不足の問題に対して、福祉分野が農業への取り組みを推進することで、こうした問題を改善、解決に向けていこうとする動きが増えてきています。 社会福祉法人は、農作業が障害者にとって身体的、精神的にリハビリ効果があるとして就労活動に農業分野の仕事を取り入れ、障害者の就労促進と農業の問題に対応しようとしています。 障害者の雇用問題の面からみると、全国の民間企業で働く障害者の割合は2,0%の義務に対して1,69%、農業分野では1,81%と農業への関わりが多くなってきているのがわかります。 一般企業への就労の場合、専門的な知識や技術の習得のための訓練が難しかったり、企業側の障害者に適した仕事の確保が難しかったり、受け入れの環境が整っていないなどの問題で、なかなか実際の仕事に結びつかないという現実があるようです。
また障害者の雇用義務化を受けて、そのための特例子会社を設立するところもあります。 農業分野の仕事を取り入れ、障害者の働きやすい場を作ろうとしている企業も増えていますが、社会福祉法人と違い、資金面で福祉関係からの援助がないため赤字になるケースがあるなど課題も多いようです。
そこで、就労継続支援型の障害者福祉サービス事業所などでは、農地を借入れ農業活動を始めたり、農業者や農業法人と契約をして、農作業の一部を受託し障害者の働く場として確保したりしています。
農業の仕事は、屋外に出て土に触れ、植物に触れることで心の安定にもつながり、それぞれの障害者に合った作業をすることも可能です。 また賃金につながる仕事ですが、困っている農家の助けになっているという奉仕の心も持てるようなそんな効果があるように思います。 福祉分野が農業への参加を試みる活動の背景には、農業者側の高齢化や労働力減少の問題、福祉側の不況による企業からの受託作業の減少とそれに伴う収益の減少の問題などを、連携し補い合うことで、お互いの発展を期待する意味が込められているのではないでしょうか。