養豚

食肉となる豚の飼養に関わる仕事を養豚と呼びます。

牛の場合と比べると、繁殖~肥育までを一貫して行う経営方式が68%以上を占めます。繁殖のための種豚(しゅとん)の改良や出荷、繁殖と子豚の育成、子豚を食肉に育て上げる肥育と、3つの分野のいずれかを専門とする場合もあります。

生産物

世界中では300~400種類もいるといわれる豚ですが、現在日本で主流となっているのは「三元豚」。肉量が多く発育が早いデュロック種に、出産頭数の多いランドレース種と大ヨークシャー種の交雑種を掛け合わせてつくった豚です。

データで見る

✦地域別の飼養頭数ランキング

 

 

✦全国で見る飼養頭数の現状

 

平成31年の全国の豚の飼養戸数は4,320戸。担い手不足などによる廃業のため前年から3%ほど減少していますが、1戸当たりの飼養頭数は約2,000頭と前年に比べて約64頭増加しています。

年間スケジュール

通年

年間の出産サイクルは約2.5回。1年間のうちに、出産から出荷までを繰り返し行う点が特徴です。

 

最近では、機械による省力化・効率化も推進され、また繁殖のタイミングを調整することにより長期休暇も取得可能になってきました。

一日の仕事の流れ

AM
  • 08:00~10:00 出勤・給餌
  • 10:00~11:00 豚舎の洗浄・消毒
  • 11:00~12:00 餌づくり、豚の移動
  • 12:00~13:00 昼休み
PM
  • 13:00~16:00 豚の移動、豚舎の洗浄・消毒
  • 16:00~16:30 休憩
  • 16:30~17:30 掃除、給餌、水や空調設備の点検

仕事の内容

母豚の種付け・分娩

母豚の発情サインを逃さず発見し、ストレスの少ない環境を整えます。自然繁殖もありますが、多くの企業が行う人工授精は、種付けの時間短縮・肉質の均一化・受胎率の向上といった利点が挙げられます。豚の妊娠期間は114日。大変成長が早い動物です!1頭あたりの年間分娩回数は2.3回。産まれる頭数は1回の出産で平均9.9頭です。

子豚の成育~肥育

生後3~10週は育成時期です。生後3週目で平均6kgだった子豚は、11週目で35kgにまで成長。ワクチン接種もこの時期行います。快適な環境の元、栄養価の高い餌を与えて育てます。その後、25週まで脂肪をつける肥育期間を経て、平均118kgで出荷します。

衛生管理

外気に触れる出荷時はもちろんのこと、飼養中も定期的に豚舎の清掃・消毒を行い、感染症や病気に細心の注意を払います。分娩・肥育・離乳(育成)といった役割ごとに豚舎を分ける「オールイン・オールアウト」は、豚を一斉に移動させる事で、豚舎の衛生を保ちます。また、万が一感染が発生した場合の連鎖を防ぐため、成長ステージごとに分散して飼育するスリーサイト方式も考案されています。

この仕事の3つの魅力

1. 安定した需要

食卓に欠かせない食品として、安定した需要のある豚肉。平成29年の豚肉の摂取量は、1人1日あたり39.3g。5年前の調査時から、世代を問わず増加しています。ここ数年ではブランド豚の開発が活発になり、生産者側から新たな消費ニーズを作り出す面白さもあります。

2. 早期のスキルアップが狙える

生まれてから出荷までのサイクルが短い豚の飼養は、繰り返しの中でどんどんスキルを向上させることができます。その分忙しさもありますが、仕事の成果 が早い段階で得られるため、やりがいがあります。

3. 豚の成長を短近に感じることができる

牛の場合と異なり、繁殖から肥育・出荷まで一貫して行っている事業所が多いため、生まれてから出荷までの過程を間近で感じられます。育てる中で、豚の繊細さやきれい好きな性格に驚くこともあるでしょう。

こんな人に向いている!

  • 愛情を持って豚に接することができる人
  • 衛生管理を大事にできる人
  • 些細な変化にもよく気が付く

豚の一生を扱う仕事ですので、愛情深く豚と向き合える人に向いています。とくにデリケートな母豚や生まれたばかりの子豚に対しては、ストレスなく居心地のいい環境を整えられる気配りが求められます。また、いまだ根絶されていない豚コレラなどの感染症リスクも隣合わせですので、徹底した衛生管理に取り組める責任感が大切です。

キャリアステップ

STEP 01
飼育スタッフ

繁殖から出荷までの一貫経営が主流ですが、種豚の改良専門・繁殖専門・肥育専門と、分野ごとに高い専門性を持った事業所もあります。ある分野を深く学びたい場合は、そうした事業所を探してみましょう。

STEP 02
現場リーダー

六次産業化を行う事業所も多い養豚業界。加工スキルを磨いたり、新たな販路を開拓するマーケティングや商品開発にも挑戦できます。

STEP 03
責任者、後継者・独立へ

事業所も長く働ける人を希望する傾向にあり、後継者候補の募集もあります。

以上、養豚についてご紹介しました。
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