肉牛

食肉を得るために飼養されている乳用牛以外の牛のことで、飼育することを畜産といいます。肉牛の生産では、母牛に子牛を産ませて育てる「繁殖」、牛の市場で子牛を買って育てる「肥育」の2種類があり、両方を行う牧場や専門的に行う牧場もあります。仕事の種類も、繁殖、肥育、子牛の哺育や、牧草収穫などがあり、酪農家と比べると時間的にゆとりのある業務内容になります。

生産物

肉専用種をはじめ、乳用種・交雑種など牛の種類は様々です。国内で消費される牛肉は、オスのホルスタイン牛や乳牛を卒業したメス、複数種を掛け合わせて良い所取りをした交雑種が大半を占めます。

年間スケジュール

通年

生き物相手の仕事は、年中無休。休日は交代制で取得する場合が主流です。

春~夏

牧草を自家生産している場合、この時期に牧草の収穫作業を行います。また観光牧場では、夏休みや連休に繁忙期を迎えます。

飼料の自家生産している場合は、米(ワラ)の収穫作業をおこなっています。

一日の仕事の流れ

繁殖農家
  • 07:00~12:00  牛の状態観察(特に発情状態など)、給餌、牛舎管理
  • 12:00~13:00  休憩
  • 13:00~18:30  牛舎の清掃・修繕、堆肥処理、去勢・種付け・出産・離乳、飼料の運搬など。       
肥育農家
  • 08:00~12:00 牛の状態観察、給餌、牛舎管理
  • 12:00~13:00 休憩
  • 13:00~18:00 給餌(2回目)、牛舎の清掃・修繕、堆肥処理、仔牛の区分け・出荷など。

※お産や病気・ケガが発生した際には、時間を問わず対応が必要となります。

仕事の内容

繁殖農家・肥育農家ともに、牛舎の清掃・餌やりは共通です。牧草を自社生産している場合は、大型トラクターによる収穫作業も行います。下記では、繁殖と肥育それぞれの特徴をご紹介します。

 
【繁殖農家】
母牛の観察

生産効率を高く保つためには、母牛の発情サインをしっかりとキャッチする観察眼が必要です。これを逃すと次の発情までは約3週間を要し、その間様々なコストがかかってしまいます。

種付け

発情が保たれるのは24時間。そのため、遅くても発情後12時間以内には種付け作業に入ります。あえて自然交配させる一部の和牛などを除いて、現在ではほぼ100%が人工授精です。

出産

妊娠した母牛は、出産予定日の1ヶ月ほど前に専用の部屋に移し出産準備に入ります。お産は夜間になることもあり緊張を伴いますが、無事に仔牛が生まれる瞬間の喜びは他の仕事では味わえません。

哺育(ほいく)~出荷

生後6~12ヶ月までは繁殖農家のもとで育成し、その後競りに出します。競りでは、体重・血統・腹の大きさ・毛並み・健康面など様々な面で価格が決められます。

【肥育農家】

繁殖農家から買った仔牛を約20か月かけて育てます。肥育の方法は、短期間でたくさんの肉をつける方法時間をかけて質を高める方法の2種類に大別され、市場のニーズに合わせて選択します。

エサの調整

生育段階に応じて、内臓や骨格を作る初期は粗飼料と濃厚飼料、脂肪をつけはじめる中期からは大麦を加え、脂肪を霜降り状にする後期はさらに大麦の割合を増やすといった細かい調整を行います。

この仕事の3つの魅力

1. 労働時間が安定的

朝晩の搾乳が無い分、酪農に比べて安定した労働時間で働くことができます。もちろん、お産やケガなどの緊急時には早朝・夜間の対応も出てきますが、農業未経験者も働きやすいのが特徴です。

2. 日本が世界に誇る和牛の生産に携われる

海外からの人気も引き続き高く、ジャパニーズブランドとして名高い和牛。その遺伝子の改良・保護は国をあげて取り組まれており、日本の肉牛業界の根幹を担う存在です。海外からの人気は高まる一方で、国内での和牛への理解は乏しい一面も。今後の日本の食肉業界を考える上では、生産者側から消費者へ、改めて和牛の魅力を伝えていくことも求められます。

3. 日々の牛の成長を間近で感じ取れる

牛はおっとりとしたイメージがありますが、じつは見慣れない人間にはすぐに気が付いたりと繊細な生き物。愛情を込めて育てた命を食料として育てるこの仕事には、一言では語れない奥深さがあります。

こんな人に向いている!

  • 動物が好き!
  • 和牛にこだわりを持てる方
  • 些細な変化にもよく気が付く

まさに生き物を育てる仕事ですので、動物が好きな方には適任の仕事です。牛の状態に毎日気を配り、特に繁殖農家では発情などのサインにもすぐに気がつける観察眼が重要になります。根気のよさと体力、また、仔牛の哺育では気遣いも必要です。和牛にこだわりを持って挑める方も求められています。

キャリアステップ

STEP 01
飼育スタッフ

まずは清掃から給餌まで、ひとつひとつ覚えていきましょう。

STEP 02
現場リーダー

リーダーには、牛だけでなくスタッフの管理も任されます。繁殖数や出荷状況など、全体の状況を把握した上で現場の判断を下せる能力が求められます。

STEP 03
独立・後継者へ

酪農を含め初期投資のハードルが高い畜産業界ですが、廃業した牧場施設を譲り受けて独立するケースや、経営を継承するかたちで独立するケースがあります。

以上、肉牛についてご紹介しました。
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