重いものを持ったり長時間屋外で作業したりするなど、農作業というと男性がやるものというイメージを持つ人がいるようです。しかし、農業を志す女性も増えており、総称して「農業女子」と呼ばれることもあります。そんな農業女子たちのために、2013年に農林水産省が「農業女子プロジェクト」をスタートさせました。農業女子プロジェクトとは一体どのようなものなのか、概要や主な活動内容、これまでの実績などを紹介していきます。
農業女子プロジェクトの認知度ってどのくらい?
農業や野菜作りに関心のある人を対象に、農業女子プロジェクトの認知度についてアンケートを取りました。
- 【質問】
- 農林水産省がスタートさせた農業女子プロジェクトのことを知っていますか?
- 【回答結果】
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回答 回答数 いいえ 169 はい 68 調査地域:全国
調査対象:年齢不問・男女
調査期間:2017年08月02日~2017年08月09日
有効回答数:237サンプル
農業女子プロジェクトの認知度が上がるのはまだまだこれから?
アンケートの結果、約7割の人が農業女子プロジェクトについて知らないと答えました。
- はじめて聞きました。最近農業女子のようなものが流行ってきているみたいな話は聞いていたのですが、プロジェクトがあるのは知りませんでした。(50代/男性/正社員)
- このプロジェクトは知らなかったけれど、農業に興味を持つ女性が気軽に参加できそうでよいと思います。農業は女性にとても向いている気がします。(50代/女性/無職
プロジェクトは知らないけれど、農業女子が増える良いきっかけだと捉える人が多かったです。では、知っているという人は何がきっかけだったのでしょうか。
- テレビでやって知りました。(50代/男性/パート・アルバイト)
- 祖父母が農家をやっているので聞きました。女性は職業の幅を広げるきっかけになっていいのでは、と家族でも話しました。(30代/女性/専業主婦)
テレビやラジオなどで知った人が大半でした。農家の知り合いがいる人は、口コミでその評判を聞いているそうです。
どちらの回答でも、女性の活躍できる場が広がるきっかけになればいいという意見が多く、概ね好意的に受け止められているようです。
農水省の農業女子プロジェクトって何?
農業女子プロジェクトとは、農業に励む女子と民間企業・団体を結びつけるプロジェクトです。これまでもあったように農家に嫁いで農業女子になった人もいますが、スローライフやエコブームなどを受け、自然回帰に目覚めた女子が就農するケースも増えてきました。今までとは違った視点で農業を見つめる農業女子たちからは、これまでにはなかった発見や知恵が生まれ続けています。農業女子プロジェクトは、そんな農業女子ならではのアイデアを社会に広めるため、民間企業・団体とのあいだに立っている、いわば橋渡し役。民間企業・団体は、彼女たちの頭の中にあるアイデアを一つひとつ形にして、世に送り出す役割を担っています。お互いが連携することで社会の役に立つこの関係は、農業女子の活動の幅を広げ、さまざまな可能性を生み出しています。農業女子プロジェクトへの参加は、職業として農業を営んでおりプロジェクトのコンセプトに賛同する女性なら、誰でも応募できます。普段の農作業での気付きをはじめ、自分が持っている考えや技術を広めたい、もっと世の中の役に立ちたいと思っている農業女子に、おすすめのプロジェクトです。
農業女子プロジェクトの主な活動内容とは?
民間企業との提携により、農業女子プロジェクトからさまざまな商品が開発されています。そのほとんどは実際の農作業に役立つ商品ばかりです。大手下着メーカーとのコラボレーションで生まれたのは、作業中でも動きやすく汗をしっかり吸収してくれるインナーです。農作業中に身につけたいのはどんな下着なのか、既成の下着で困っていることはないかなどメーカーがヒアリングをし、快適に作業ができるような商品を開発しました。また、建設業界で広く活躍する大手企業との開発で、腕カバー機能を兼ね備えたロング手袋ができました。長時間の屋外作業では、太陽の強い光を浴び続けます。日焼けを防ぐために黒い腕カバーをする女子は多いですが、プロジェクトで開発されたロング手袋なら、それひとつで紫外線や土汚れから腕を守ってくれます。蒸れにくい素材で汗をかいてもすぐに吸収・放質してくれますし、手袋をしたままスマートフォンをいじることもできます。プロジェクトでは軽量化した草刈り機も開発しており、女性が操作しやすいようにさまざまな工夫がなされています。大変な草刈りも、ピンクの草刈り機で楽しく作業することができます。
2016年に開催された農業女子PJアワードとは?
2016年には初めて農業女子PJアワードが開催されました。1年間活動してきた農業女子たちのなかから、日々の取り組みに対して最優秀者を決める催しです。応募は普段の活動についての内容のみ有効で、販促プロモーション部門、コミュニティ部門など合計5つの部門があります。5つの部門からはそれぞれファイナリストが選ばれ、さらにその中から「農業女子PJオブ・ザ・イヤー」が決定されます。「農業女子PGアワード2016」では、2016年11月から応募が始まり、2017年2月にファイナリストが選出されました。ファイナリストは「農業女子PGアワード2016」の会場で自らの成果をプレゼンし、審査員と会場投票によって最優秀賞の「農業女子PJオブ・ザ・イヤー」が決められました。審査基準は独創性、共感性、社会的価値、将来性、実現可能性の5つで、これらの項目から総合的に判断します。農業女子PJアワードは、農家で働く女性たちの輝く姿を、広く社会に知ってもらう機会にもなりました。農業はかわいくて楽しいという発想はまさしく女性ならではでしょう。最優秀賞を目指して先輩に続く農業女子たちが出てくれば、農業の世界はさらに活性化していくのではないでしょうか。
まとめ
かつて女性が就農するには農家に嫁ぐことが一般的でしたが、現代では1人で農家を始める女子もいます。農業女子プロジェクトは、バイタリティにあふれる女子の姿を世間に知ってもらい、女子がもっと農業をしやすくなるためのプロジェクトです。農業はクリエイティブで楽しむ仕事、農業女子たちのそんな願いがもっと世の中に広がるように、就農中の女子も就農を目指している女子も、農業女子プロジェクトに参加してみてはいかがでしょうか。