就農を考える人にとって、農家がどのような一日を過ごしているのか興味があるのではないでしょうか。農家は忙しい、農作業が大変などのイメージがありますが、農業は体力勝負ですので24時間働き詰めでは体が持ちません。実際にどのようなスケジュールを送っているのか、今回は一般的な農家の一日を紹介していきましょう。就農後のイメージをつかむために、ぜひ参考にしてみてください。
動きやすい朝は収穫時間!
農家の繁忙期は4月頃から10月頃にかけて、春は種まきの季節、夏と秋は収穫の季節になります。農作物によっては、夏の終わりごろに種をまく秋まき、秋植えの場合もあります。今回は春まきを基本にして説明していきましょう。春の種まき時期は朝6時頃に起床して朝ごはんを食べてから、野菜なら種まきや植えつけ、稲作なら育苗などの農作業をします。10時すぎに休憩を取ったら、農場に戻って草刈りをして、12時にお昼ごはんです。夏の収穫時期になると起床時間は早朝4時頃になり、涼しいうちに収穫を済ませます。8時頃に一旦帰宅して朝食を食べてから農作業に戻ります。途中、10時すぎに休憩をはさみ、収穫調整をしたりほ場管理をしたりして12時まで農作業を続けます。農繁期の朝は基本的に早く、午前中は朝食と休憩以外はずっと農作業をしています。一方、冬の農閑期になると、かなり時間ができます。農家によって過ごし方はさまざまですが、業界分析や作付け計画、経理事務、経営管理などの事務作業を行う農家も多いようです。しかし、野菜と畜産など、複数の農業を行っている人は、午前中に2つの作業を交互に行い、家族で役割を分担しているケースもあります。畜産は基本的に休みがありませんので、一年中家畜の世話をしています。
午後は収穫と出荷準備
昼食を取ったら13時から午後の作業を開始します。まず栽培シーズンの場合、農作業の多くはほ場管理で、なかでも草刈りが多いです。野菜が育つ時期は雑草もメキメキと伸びるので、小まめに除草をする必要があります。15時頃に休憩をはさんで、18時頃に一日の作業は終了です。18時すぎに夕食、入浴、翌日の準備や作付け計画などを行い、プライベートタイムをゆっくり楽しんで就寝です。収穫期の場合は、出荷準備が主な仕事です。農作物を選定して袋詰め、箱詰めを行います。農場に出て、夏の果菜類の葉を取ったり草を刈ったりなどのほ場管理も欠かせません。18時頃には作業を終えて、あとは栽培シーズンと同様の過ごし方をすることがほとんどです。農閑期の場合は、昼食後に再び事務作業をします。農機具の片づけや整備なども、このときに行います。事務作業を午前中に終わらせて、午後はプライベートな時間を楽しむこともあります。自然豊かな農村部に住んでいる農家なら、温泉に入ったり近くの観光地に出向いたり、人それぞれ過ごし方はいろいろです。ただ、兼業農家の場合は農閑期にほかの仕事をしていることも多く、専業農家に比べてゆったり過ごす時間は少ないと言えます。
農作業中にツライと思ったことは何?
野菜作りや農業経験者の男女に、農作業中に辛いことを教えてもらいました。
- 【質問】
- 農作業中にツライと思ったことがあれば具体的に教えてください。
- 【回答結果】
-
フリー回答
調査地域:全国
調査対象:年齢不問・男女
調査期間:2017年08月02日~2017年08月09日
有効回答数:231サンプル
農作業は体が辛くなるという声が圧倒的
- かがむ姿勢が多くなるので、どうしても腰に負担がかかり、後日、腰痛を起こすことです。(30代/女性/専業主婦)
- 夏の炎天下は本当につらい。朝夕にやるようにしているがそれでもつらい。ハウスの中も相当つらい。(50代/女性/専業主婦)
- 夏は暑さ、冬は寒さが辛いですね。特に夏は油断すると熱中症で倒れそうになるので大変です。(20代/男性/個人事業主・フリーランス)
- 大事に育てて実がなっても、鳥や猫、虫に食べられてしまったことです。(20代/女性/専業主婦)
- 具合が悪い時も休めない。一度高熱を出しながら、水やりしていて、さすがに辛かったです。(30代/女性/派遣社員)
数々の回答のなかでも、腰痛や夏の暑さが辛いと感じる人が多く見られました。また、せっかく育てた農作物を小動物に荒らされたり虫に食われたりすると、精神的に辛いと感じるようですね。やはり農業は体力的に大変な仕事です。いくら農作業が好きでも、休息は適度に取るのが大切。長く農家を続けていくためにも、しっかりと疲労回復に努めたいですね。
しっかりとりたい休憩と水分と睡眠
農家はとにかく体力勝負です。休息は一日単位と年単位で、取れるときにしっかり取るのが重要です。日々の食事も大切です。農家は活動量が多く、自然とお腹は空いてくるものです。都市部では朝食抜きの生活をしている人もいますが、農家では一日3食、野菜と肉、炭水化物をバランス良く摂るようにしてください。さらに、農繁期の休憩時間は午前10時と15時の2回が一般的で、このときにお茶とお菓子を食べて、農作業で消費したカロリーや栄養分を補給します。食べる物は農家によってまちまちですが、採れたての収穫物も食べられるのは農家の醍醐味といったところでしょう。昔ながらの定番といえば、緑茶と梅干しです。緑茶は抗菌作用の強いビタミンCとカテキンが、梅干しには疲労回復のクエン酸と塩分が含まれていますので、農作業の合間に食べるにはピッタリの組み合わせです。夏の熱中症は命の危険にさらされるケースもあるため、作業中はできるだけ小まめに水分を摂ることにも注意しなければなりません。
まとめ
農家の一日は朝早くに始まり、日没とともに終わります。会社勤めのように一年中同じサイクルで回っているわけではないので、最初のうちは慣れるのに時間がかかるかもしれません。しかし、シーズンによって変わる生活のおかげで、季節の移り変わりを感じることができます。太陽とともに起きて日没とともに終わる生活は、人間が本来持っているスタイルです。都市部の生活で崩れた体内リズムを戻すのにもぴったりで、健康的な日々を送ることができるでしょう。
関連記事:就農したい人も野菜が好きな人も!農家バイトがおすすめな理由