無農薬野菜を作りたいけど難しい?失敗しない栽培のコツとは?

挿絵1野菜作りが好きで家庭菜園をしている人のなかには、無農薬で野菜を作りたいと思う人もいるのではないでしょうか。しかし、農薬を使わずに野菜を栽培するのは、プロの農家でも難しいことです。直売所や通信販売などで売っている無農薬の野菜が高いのは、それだけ手間と時間がかかっているからです。なぜ、無農薬の野菜作りは難しいのでしょうか?今回は、野菜作りの難しさと、無農薬で失敗しないためのコツを解説していきます。

無農薬野菜を作るのが難しい理由とは?

挿絵2無農薬栽培が難しい理由は、害虫がつきやすいことと、雑草が生えやすいことです。戦後日本で化学合成農薬を使うようになってから、除草作業の時間に大きな違いが生まれました。1949年は10アール50時間かかっていた除草作業が、1999年には2時間に減少しています。このことからも、化学合成農薬がいかに効果的なのかがわかります。さらに難しいことには、無農薬でなんとか病害虫や雑草対策ができても、土壌と野菜の相性が悪ければ、丈夫に育ちません。弱い野菜は害虫が好みますので、野菜が食われるリスクが高くなります。害虫に食べられなくても、形や色が悪かったり傷が入ったりして、おいしい野菜にはならないでしょう。このように、農薬に頼らず野菜を作ることはとても難しいことなのです。手間暇をかけて育てると、それだけコストもかかりますので、野菜の値段は当然上がります。しかし、あまり高すぎると売れにくくなります。一般的な販路で卸す場合は、そもそも極端な値上げはできないので、割に合わなくなってしまいます。

なぜ無農薬野菜は作るのが難しいの?

野菜の安全に関心のある100名に、なぜ無農薬栽培は難しいと思うのか、意見を聞いてみました。

【質問】
なぜ無農薬野菜は栽培が難しいのだと思いますか?想像で結構ですので意見を聞かせてください。
【回答結果】

フリー回答

調査地域:全国
調査対象:年齢不問・男女
調査期間:2017年08月02日~2017年08月09日
有効回答数:100サンプル

無農薬栽培は虫と雑草との戦い!

  1. 虫の食害を防ぐにはまめに虫取りをしなければならず大変だと思います。プランター一つの家庭菜園でさえ虫との戦いには勝ったことがありません。(50代/女性/正社員)
  2. 周りが農薬を使う農家だと、そこから逃れてくる害虫が無農薬野菜にたかってくるから大変だと思います。収穫地全域が無農薬農法だと大丈夫かとも。(50代/男性/個人事業主・フリーランス)
  3. 農薬をまかなければ、虫食いだらけの野菜になってしまう。虫食いを防ぐには、栽培中の野菜を常に世話しないといけないので人件費がかかる。(40代/女性/正社員)
  4. 土作りから収穫まで、農薬なしで進めていく必要があり、作物の生育をコントロールしにくいため。(40代/女性/個人事業主・フリーランス)

半数以上が害虫駆除について触れており、虫がつくと野菜に良くないという考えが浸透しているようです。できれば農薬は使わないほうがいいけれど、農薬がなければ農作業が大変になるという意見が非常に多く見られました。一般的に、農薬の役割は正しく認識されていると言えそうですね。

失敗しないコツ1.栽培品種を選ぶ

挿絵3同じ野菜でも品種によっては病気に強い、虫がつきにくいなど、あまり手をかけなくても済むタイプがあります。無農薬で野菜を育てるなら、丈夫に育ちやすい品種を選ぶのがおすすめです。また、住んでいる地域の気候を考えて、その地域にあった野菜を選ぶのもポイントです。もし寒くなりやすい地方で栽培するなら、ほうれん草のような冷温に強い野菜を、温かい地域で育てるならサツマイモのような生育適温の高い野菜を選ぶようにします。市場に出回ることはほとんどありませんが、固定種と呼ばれる種もおすすめです。固定種とは、でき具合の良い一代目の野菜の種で野菜を作り、二代目の野菜の種からまた一番でき具合の良い種で野菜を作るということを繰り返しながら品種改良した種のことです。大きさや色あいがバラバラになりやすく、個体によって成長速度も違います。しかし、その地域にしっかりと適応してきた種ですから、無農薬でも強く育つ性質があります。プロの農家と違い、家庭菜園であれば収穫時期を気にすることはありませんし、栽培が終わったら種を収穫してまた植えることもできるので長く楽しめます。なにより野菜本来の味をしっかりと持った固定種は、多く流通しているF1種と呼ばれる野菜よりも美味しいでしょう。

失敗しないコツ2.害虫対策をしっかり

無農薬栽培でおすすめの防虫対策はマルチングです。畑の畝にシートなどをかぶせて虫がつくのを防ぐ方法です。さまざまな種類のマルチがあり、地温コントロールや雑草予防をすることもできます。具体的には、長いビニール上のマルチを畝にかぶせ、四隅を固定するだけです。マルチングをすると虫が野菜に寄りつけなくなるほか、風に乗って飛来してきた雑草の種が畝や野菜の上に落ちるのを防いでくれます。マルチングのタイミングは、種まきや植えつけをした直後です。すき間があると虫や雑草が入り込んできますので、土でしっかり固定するようにしましょう。マルチには黒や透明、白などいくつか色があり、それぞれ用途が異なります。地温を上げるなら透明、雑草防止なら黒、害虫予防をするなら虫が嫌いなシルバーのマルチが良いでしょう。

失敗しないコツ3.栽培環境をきちんと作る

無農薬に限らず、栽培環境の整備はとても大切です。弱酸性で水はけの良い土壌、風通しの良さなど、種まきや植えつけの前に必ずチェックして、必要があれば何らかの対策を打っておきましょう。まんべんなく日の光が当たるように、畝は東西に長く作るのが基本です。植える野菜は、必ず季節に合わせます。野菜には発芽適温や生育適温があり、適温下でないとうまく育ってくれません。ビニールハウスで温度管理をしているなら別ですが、早くたくさんの野菜を収穫したいと、寒い時期にも関わらず発芽適温の高い種を植えても芽を出してくれません。ただ、種まきや植えつけ時期を守っても、急な天候の変化で地温や気温が下がりすぎてしまうこともあります。そのようなときは、地温を上げるために透明のマルチをかけるなどの対策が必要です。

まとめ

野菜作りは農薬を使っても、うまくいかないときはいきません。無農薬栽培なら、なおさら難しいかもしれません。しかし、害虫対策や栽培環境、植える種の選び方などを工夫して、少しでもうまくいくように工夫することが大切です。収穫までこぎつけることができたら、苦労した分だけ喜びもひとしおです。まずは育てやすい野菜からチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
関連記事:自分でも栽培できる?正しい無農薬野菜の作り方とは?